少女よ、世界の終わりを。

ヨモスエ/ささウ

第1話 終わった後。音。

「火薬の匂いだ・・・・」

少女は感じた。誰も居ないこの世界で。



「なんだ、昔の弾薬じゃん。もう使えないだろうな」

「自決にも使えないんじゃなぁ」

彼女は独り言で冗談を言った。

ひゅう。風が吹く。

少女のいる場所は辺り一面が灰色の砂で覆われ風の通りが良いので耳に触れる風がいい音を立てて去っていく。

あるのは粉となった建物の残骸、砂、砂、砂だ。

「せめて食べ物だけでもあれば人造人間とて救われるのに・・・火薬は食べたくないなぁ。」


そう言い彼女は足跡の無い方へ足を進ませる。ここは彼女以外居ない、だから足跡が無い方が前になる。


ザッザッ。

ザッザッザッ。

ひゅう。

自然の音だけが、生を持ってしまった彼女の耳に届くのである。

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