第35話 ギルドからの帰り道… (35話)

 ギルドから住宅地区への帰り道、カスミちゃんは何か考え込んでいたようだが、道半ばというところで突然話しかけてきた。


 ちなみに、ジョーイさんの得意先が何件か見つかり、今書いている依頼主の肖像がが完成した後も、当分はこの街で生活することになったため、カスミちゃんたちは、ヘンリー隊長の紹介で、隊長宅近くの空き家を借りて二人で生活している。

 そのため帰り道もほとんど一緒だ。


「ねえ、アリアちゃん。」

「なあに?」

「飛竜が翼竜のランホリンクスだったってことは、特級冒険者に目撃された地竜って……、もしかして恐竜じゃないかな………」

「その可能性もあるよね。」

「アリアちゃん、これからクレヤボヤンスで確認できる?

 わたし、昔からブロントサウルスとかの草食恐竜に一度でいいから乗ってみたかったの」


 なるほど、静かだと思ったらそんなことを考えていたのか。

 正直、私も恐竜に乗ってみたい。


「分かったわ、カスミちゃん。やってみるけどここではちょっと……」

「そうだね、それじゃあ私のうちにちょっと寄って行って!

 時間あるでしょ?」

「そうね、1時間くらいは…。

 ヘンリー隊長が帰ってくるまでに夕ご飯の支度もしたいからそのくらいがぎりぎりかな?」

「私もお父さんが帰ってくるまでに夕飯の用意したいからそのくらいで探せるだけ探してみて!」

「わかった」


 私はカスミちゃんたちが借りている一軒家のリビングルームに通されると、すぐにクレヤボヤンスを発動して南のジャングルを探す。

 地竜の生息数が多ければすぐに見つかるかも知れないが、なんと言ってもこの星は地球よりかなり広い。

 直径が約2倍、表面積は4倍くらいである。

 そうそう見つかるものではないのかも知れない。


 ちなみに大きさは大きいが、比較的軽い元素が多いので、重力は地球と同じくらいだ。


 確信はないが、ランホリンクスが生息地からここまで、まっすぐ飛んできたとすると、サラス共和国の真南に元々すんでいたのかも知れない。

 私はクレヤボヤンスの視点をどんどん南へと移動させる。

 あまり上空に視点を移すと見逃すかもっしれないので高度は500メートルくらいにしておく。


 ルフルの森を突き抜け、その先の草原、山脈、砂漠、そしてまた山脈、草原…

 サラセリアの南、およそ1万3千キロ、そろそろ熱帯に入ったかというところにそれはいた。

 翼竜が複数確認できる。

 種類はランホリンクスの他にプテラノドンのように見える個体もいる。


 地上は鬱蒼とした密林と開けた草原が混在する平坦な地形のようだ。


 視点を下げて地上付近へ近づく。


 いた。

 ブロントサウルス?

 いやアパトサウルスだろうか…

 首が長い雷竜の仲間だ。


 近くにはステゴサウルスのように見える剣竜の仲間も見える。


 しかし、大きさがよく分からない。

 近くの樹木と比べると、地球のものより小型のようにも思えるが、比較した樹木がこの辺りの樹木と同じ樹高とは限らない。


 近くにランホリンクスが下りてくれば、私たちが捕まえた個体と比較しておおよその大きさは分かるのだが、あいにく翼竜の仲間はかなり上空から下りてくる気配がない。



「アリアちゃん、見つかった?」

 私が集中していると、カスミちゃんが心配そうにのぞき込んできた。


「うん、見つけたと思う。

 かなり南の方で翼竜2種類と地上型の恐竜2種類見つけた。」

「ほんと!すごい!!大きいの?」

「正直比較の対象がないから分からないけど、近くの木がこの辺りと同じくらいなら地球のより小型かな…

 正確には行って見ないと何とも言えないわ」


 私の答えに満足したのか、満面の笑みでうなずきながら目を輝かせてカスミちゃんが聞いてくる。


「当然行くよね!」

「もちろんよ。

 今日は無理だけど、明日は薬草集めが終わったらテレポーテーションで行って見ましょう。」

「やったー!約束だよ!!

 私、昔からブロントサウルスに乗ってみたかったの!」

「うん、約束!

 私も乗ってみたいわ!!」


 私たちは明日の予定を簡単に話し合うと明日に備えて十分な急速を捕ることを互いに念押しし分かれた。

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