第121話 華しょく(二)

 十月に入ってから、テレビのニュースは物騒な話ばかりされるようになった。

 アメリカの株価破綻からEU、中国なども連鎖して、金融崩壊が世界規模に起きてきた。

 どこも貯金封鎖と銀行破綻から銀行員への襲撃が始まり、金融企業の社員や高級住宅に住む金持ちが引っ張り出されて殺され、会社ビルは破壊され住宅は焼き払われた。

 どの大国も内乱状態に突入して、混乱が広がるばかりだった。


 銃の暴発は止まらず、銃撃戦が起きてないのが救いだが、それでもかなりの死者数は出ているらしい。

 その多くがナイフ系やクロスボウでの殺戮に変わっていった。

 日本もデフォルトと新円通貨発表まじかと騒がれている。


 ネットでは、『宇宙を見ろ。神に祈れ』と言う、巨大掲示板に不明な書き込みが多くなり、何かの暗号か、新興宗教が始まったんだと、憶測が流れる。

 意味などわからないままツイッターなどで『国家破たん秒読み』とともに、わからない案件に『宇宙を見ろ』のつぶやきがブームになっていた。

 





 最近俺の部屋に入り浸って、寝泊まりまで敢行しだした鈴。

 さすがに夢香さんのところでのお泊りは迷惑がかかると、俺の部屋に入室許可を出してのこと。

 もちろん、鈴に手を出すつもりもないし、鈴の防御も鉄壁で、体内からも要が目を光らせているから無理である。

 いや、俺自身鈴は女として見ていないのだが……。

 だって、麻衣みたいにふくよかな胸に、栞のようにしっとりした色気もない。

 そんなことを思ってロリ体系の鈴を見ると、なぜかしっかりと睨み返される。

 ゲームばかりするかと思うと、ネットでの通信講座を受けており、自前のモバイルパソコンと携帯電話を連動させ、一人勉強していて驚いた。


「これ、仕事、その一つ」


 給料に入っているらしく、うらやましい。

 鈴の所属する組織は何なのか、まったく見えてこない。


「その所属している組織は、どんなところなんだ。会社名とかは何なんだ?」


 モバイルパソコンから顔を上げる鈴。


「会社、違う、城研」


 略式を言われて意味不明である。


「それだけじゃわからんぞ。大体何しているところなんだ」

「ご隠居の、研究所。勾玉能力、研究、扱ってる」


 ほおっ、ご隠居が社長の一族経営か。


「じゃあ、鈴が研究対象ってことなのか?」

「それ、昔の話。今は、私が、勾玉保持者、監視者。それを総括する、その場所が城研。東京、ある」


 データーとってから、組織の一員になったわけか。

 それで能力を使った要人警護や能力者の監視とかやっているんだな。

 彼女の生い立ちは、よく知らないが、変わった人生歩いているのはわかった。


「俺がその城研に入ると、最初は研究対象でモルモットみたいになりそうな気がしてきたぞ」


 鈴は俺の言葉に、目を瞬かせたあと満面の笑顔を作る。


「モルモット、そんなことない。ただの検査。それより、忍。私の後輩。私、先輩。むふうっ」


 俺を指さしてから自分に指を指して、ない胸を反らせている。

 こんな先輩嫌だ……。



 ***



 鈴に仕事のことを軽く聞いたあと、卒業後に麻衣と一緒になることを決意。

 案件の一つにお伺いを立てるため、携帯電話の日記帳に書き記す。


「俺は、麻衣と一緒になることにしたけど、要の意見を聞きたい」


 書きこんだあと、要と意識の交換をした。

 俺でもある要が起きだすと、静かに日記に文字を打ち込んでいく。


『忍君の人生です。祝福いたしますよ。嫉妬の気持ちもありません。なぜって、もう一緒になっていますから。それに時期が来れば、私と麻衣さんとも上手くやっていけると思っています。まあ、しばらくはお邪魔虫にされると思うので、意識を眠らすことに終始します。それが多くなりそうで、少し寂しくて悩ましいところです』


 あっさりと彼女は了承したので胸をなでおろす。




 また日差しが暑くなった昼間、鈴を連れて麻衣に会いに行く。

 病院の食堂にロリ監視者を残して、病室に向かうと廊下で彼女とばったり会う。


「あっ、忍。来てくれたんだ」

「これから昼食? っていうか一人で歩いていいのか?」

「なんか、急に傷口が塞がって良くなったの。もう退院して大丈夫、ってさえ言われちゃったよ」

「それは嬉しいニュースだ。重症して入院していた直人も退院が近いって聞いてるから、道場騒動での入院患者がいなくなるな」

「うん、やっと、みんなが普通に戻れるのね」

「ああ、元に戻れる。……昼はまだ? 上で食べない?」


 彼女と二人だけで話がしたくて、屋上に誘った。



 

 俺たちは売店でパンと飲み物を購入してから最上階に上がり、誰もいない屋上外に出て日陰にあるベンチに一緒に座った。


「なんか、また暑くなったわね」

「そうだよな。で、退院はいつに?」

「今日、もう一度検査したあと、何もなければ明日退院だって。傷口が分からないほど回復しているって、お医者さんも目を丸くしてた」


 そう言って彼女は、病衣を手ではだけさせ、包帯のなくなった胸の上部を俺に見せた。

 この前は黒ずんで線があったのに、なくなっていて驚く。


「凄い、傷口が分からなくなっている」

「若さから来る免疫力が群を抜いているって」


 麻衣は片腕を上げて、誇らしげに力を入れると、病衣がさらにはだけて、素肌と白いブラジャーがあらわになる。

 くっ、俺を欲情させるつもりか。


「おい。……隠せよ」

「忍以外、誰もいないわよ。今はもっと見て欲しい気持ちなんだけど。……あっ、特等席に一人いたか」


 見る見る笑顔が消えていく彼女を見ながら、変なことを連想させたと悔いた。


『完全睡眠移行』


 俺の頭の中に要らしい言葉が浮かんだ。

 うん、要はいい女だ。

 それに引き換え、目の前の不満顔は……どうしたものか。


「要は私たちのこと、どう思っているの?」

「ああ、麻衣と一緒になるのに、一も二もなく了承したよ。邪魔になったらすぐ眠るとも言ってくれた。今も睡眠に移行したし」

「あら、そうなの? そっか。意外と理解者なのね。ちょっと感心した」


 不満顔を見る見る戻っていき安堵する。


「おなかの方はどうかな? つわりとか、どうなっている?」

「うっ、うん。入院前後にちょくちょくあったけど、最近は少なくなっているかな」


 麻衣の妊娠。

 彼女のおなかに、俺と麻衣の命が宿っているってのは、何か嘘みたいな感じがする。


「おなか触っていい?」

「いいいけど、まだ何も感じないよ」


 そう言われながらも、病衣の下腹部に手を当てる。


「そうだけど、何か、こう、肌で触って実感を持ちたい気分だから」

「……うん」


 俺の手の上に麻衣の両手が乗ってきた。

 新しい生命に、何かの暗示を感じる思いもする。

 麻衣の妊娠と聞いて、重ぐるしい倦怠感が頭を覆っていたけど、仕事先も決まって一緒になると決心したら、雲が張れるような気分に変わっている。

 げんきんなもので、彼女との暮らしを思うとワクワク気分が大きくなっていく。

 彼女の下腹部から手を放して、乗せてあった麻衣の手を握りしめる。


「えっ?」


 麻衣の顔を見つめて一言つぶやく。


「結婚……しよう」

「……えっ? ふっ、不意打ちだわ」

「結婚式とか指輪とか、しばらく無理だけど……一緒になろう。それでもいいかな?」

「……あっ……んっ……はい」


 彼女は目に涙を溜めて、微笑みながら返事をした。




 昼の食事を済まながら、城野内研究所で仕事ができるかもと話して、俺たちは屋上から離れる。

 麻衣とエレベータから降りて廊下を出ると、病室入り口で鈴が立っていた。


「あっ、今、まずい、よ」

「うん? 何が」


 鈴の忠告に疑問を持ったまま、二人で病室に踏み込むと、麻衣の両親が来ていて鉢合わせになった。

 彼女の父親は筋肉のある腕を胸に組んで、俺に睨みを効かせたあと、テレビ台に置いてある物を持ち上げて麻衣に見せた。


「お母さんが、荷物の整理していたら見つけたんだ。妊娠検査薬だって? どういうことだ」

「あっ」


 俺と麻衣は目を向いて、父親が持つ妊娠検査薬を眺めて固まった。


「妊娠しているのか?」


 黙ってうつむく麻衣。


「どうなんだ? はっきり言ってみなさい」


 父親に肩を叩かれて、再起動した麻衣が首を縦に振った。


「相手は。相手は誰だ。お前か?」


 妊娠検査薬を難しい顔をしている母親に渡すと、声を荒げて俺に詰め寄ってきた。


「いやっ、あの、お父さん……それはですね」

「お父さんだと? 学生の分際で、貴様に言われる筋合いはない。よくもうちの娘を」


 速攻で近くにあったティシュ箱を、頭に投げつけられてピビる。


「やっ、止めてよ、お父さん」


 俺と父親の間に麻衣が割り込んで、止めに入ると母親も同調した。


「そうよ、お父さん。それにここは病院の中ですよ。落ち着いて」

「うっ、うるさい。うちの娘がまたも……傷物に」

「馬鹿。お父さんの馬鹿。私、好きで一緒になったんだからね。お姉ちゃんの話は出さないで」

「すいません。俺も彼女、麻衣が好きで……どうか二人の仲を認めて」

「認めろ? 親の目を盗んで娘に手を出しておいて図々しい」


 頭が痛くなってきた。

 もうこのおやじ苦手だ。


「子供は? 下さないの?」


 母親が父親の前に出てきて、俺たちに問うてきた。


「私、産むから」

「俺も産んでほしいです。麻衣に中絶はさせたくないです。今は三人で暮らせる準備を考えているんです」

「結婚したいの?」


 麻衣の母親が俺に真面目に問うて来た。


「はい。それで仕事先も上手く決まりそうな状態です」

「ふーん」

「どうか、一緒にさせてくだ……」

「一緒だと? 許さん。同居などまだ早い。デキちゃった婚なぞ、到底認められん」

「ちょっとお父さん、この二人ちゃんとしたカップルよ。それに麻衣に下させる気?」


 母親の険しかった顔が、温和になっていったが、隣の親父は声のトーンが下がりながらも否定する。


「そっ、そう……だ。まだ結婚など早い。まだ高校生なんだ、子供が子供を育てられるか。いいか、家出も中退も許さんからな」

「卒業するわよ。それなら家を出たっていいでしょ!」


 麻衣は目をはらして、父親にアヒル口を向けている。

 頭をかく親父は、俺に向き直ると「駄目だ」を連呼する。

 そのあとは話し合いにならず、「家族会議をする。出ていけ」と怒鳴られて退散になった。

 麻衣の親父には、がっかりというか前途多難というか……。

 仕方なく追い出されるまま元気なく肩を落として部屋から出ると、携帯電話で話をしていた鈴が会話を切り上げて通話を切る。

 俺が立ち止まると、携帯電話をしまい真面目な顔で俺に近づく。

 いつもみたいに笑ってくれればいいのだが、今日は憐みの顔を向けられているようで嫌になった。


「帰る?」

「ああっ、敗戦撤退だ」



 ***




 よく日は、十月最初の日曜日。

 テレビでは、最近夏が戻ってきたかのような暑い日が続いていて、今日も観測史上初の夏日を更新するそうだ。

 麻衣の退院の日でもあり、涼しい日であってほしかった。

 鈴は用ができたと言って朝から出かけているので、面倒が一つ減った。

 俺もこれ幸いとして、麻衣に退院祝いの花束を購入し車を病院に走らせる。

 昨日の夜、麻衣の病室にまやかしイミテーション遠隔視オブザーバーを使って彼女と話した結果、問題の父親とはしばらく距離を置いて、今は母親を味方につけようと戦略が決まった。

 病院について、麻衣の病室に行くとベッドは整理されて空になっていて、彼女もその両親もいなかった。


「あれ?」


 麻衣が消えた。

 あの父親がいないのは、安堵したが麻衣までいないのは変だ。

 近くの看護師に聞くと朝には出られたとのこと。

 首を捻っていると、麻衣から携帯電話が入った。

 喜んで通話すると、相手は男のやせた声で嫌な予感が走る。


『彼女、浅間麻衣さんは預かりました』

「誰だよ、あんた? 彼女がどうしたって?」

『私は十人の弁護団の一人です。浅間さんは無事ですので、まずは安心してください』

「はあっ……」


 十人の弁護団と名乗る男と聞いて、この前の車の中で自爆した矢代弁護士の背乗り仲間を思い出す。

 バードを手引きしたグループでもある。

 自然と携帯電話を握る手に力が入る。  

 話は、矢代弁護士の車が破裂した現場の砂浜まで来いとの連絡だった。


『広瀬さん。あなたが来るのを条件に彼女は解放しますが、くれぐれも警察には連絡しないでください。いいですね? でないと浅間さんがどうなるか……わかりますよね?』

「ああっ……」


 通話は切れても、しばらく携帯電話を握りしめて立ってしまう。


 ――麻衣の誘拐。拉致、監禁か? 


 いまさらどういうつもりだ。仲間の復讐か?

 そもそも十人の弁護団ってまだ捕まってなかったのかよ。


「くそっ。彼女に手を出すなんて」




 俺は焦りながら車を飛ばして、要求された海岸場所に急行した。

 歩道から砂浜に下りて、半分ほど海岸近くまで足を運ぶ。


 ――この辺でいいのか?


 周りを見渡すが誰もいない。

 麻衣をさらっておいて、誰一人来ていないって……何か策でもされている?

 うしろを振り返り、左右を見るが人影はない。

 テトラポットの見える海面を眺めると、三メートルほどの古い小型ボートが内海に漂流しているのが見えた。


 ―――一人の手から離れた無人ボートだろうか?


 そのボートで海に逃れるバードを空中に止めたときを思い出し、嘘の出来事だったんじゃないかと思えてくる。

 実際、殺人になるんだろうが、殺したとかの感覚が俺は持ててない。

 両手を見て、握りしめる。

 ひとを殺める感触とかなかったし、場所も遠かったせいか……怒りが先行して逃がさないという思いが強かったからな。

 距離が離れていると、殺人も自責の念が薄れるってことか。

 後悔はないし、栞の仇が討てて良かったと思うが、空虚感は残っている。

 復讐をしても達成感など、ない、ってことなんだな。

 そんな考えに浸っていると、携帯電話が鳴った。

 通信を受けると、先ほどの場所を指定した男だ。


『ようこそいらっしゃいました。まずは海を見てください。私たちの贈り物です』

「なんだ? 無人のボートか?」


 よく見ると、衣を着た少女が一人ボートに横たわって乗っているのがわかった。

 少し遠くて見ずらいが、麻衣……か?


「おい。彼女を乗せているのか? どうするつもりだ? 何が目的なんだ」


 俺は憤りを覚えながら、通話先の男に詰め寄る。


『もちろん両手両足を縛って動けなくしていますよ。面白いショーができるためです。ちょっとした見世物ですね』


 空から音が聞こえてきたので、振り仰ぐとどこからともなく無線操縦無人機ドローンが飛んできて、上空に待機しだした。

 目障りなものを……。

 携帯電話の通信相手に文句を言ってやる。


「上のドローンもお前たちの仕込みか? 目障りだ、戻せ」

『あれは気にせずに。では、さっそくショーの開始といたしましょう』

「麻衣のボートに何かするつもりなら許さないぞ」

『ふふっ、ただあのボートを沈めるだけですよ』

「なにーっ。きっ、きさまーっ」


 俺は携帯電話を強く握りしめてた。


『いい感じで熱くなって、私はうれしいですね。では、始めますよ』

「よっ、よせ」

『もう一度海を眺めてください』


 携帯電話を顔から離して、海上の小型ボートに目を向ける。

 先端に爆発音と黒煙。

 同時に水飛沫が、ボートの中から上がった。


「わっ。何をした?」


 見ているうちに、麻衣を乗せた小型ボートは、空中に煙を残して海へ沈んでいく。

 俺は口を開けて、ボートが沈んだ海を呆けて眺めていた。


『いかがでしたでしょうか? よきショーをご覧になって満足ですか?』


 俺は徐々に、見えない相手に大きな怒りが沸き上がってきた。


「ふざけるな。お前ら、ふざけるな!」

『んっ?』


 携帯電話の通信が突然切れた。

 相手との会話はどうでもいい、今は沈んだボートだ。

 麻衣は手足を縛られていたんだ。

 すぐ助けないと。

 走りだすが、今から海に飛び込んでも間に合わない。

 それなら、あれにかける。

 携帯をポケットに落として、両手に思いっきり力を入れた。


 ――麻衣を会場に上げてくれ。


 何度か、夢中に唱え続ける。


 ――上がれ。上がれ。こっちへ。 


 また周りに小さな光が見えだすと周りに散っていく。

 次の瞬間、俺と小型ボートが沈んだ間に水の裂け目が現れ広がってい。

 海が割れた。

 同時に、内海の海抜が上昇。

 海水の水先が足元にやってきて、履いていた運動靴を濡らし、砂浜が海に飲み込まれる。

 割れた海中に沈んだボートと、落ちた人影が離れて見えると、一瞬のうちに海水に押し上げられるように浜辺に打ち上がる。

 引き潮に動かされながら、目の前に沈んだボートと人影がはっきりしだす。

 人影は病衣を着せ、かつらをしたマネキンとすぐ分かった。


 ボートやマネキンと入れ替わるように海水は引き海抜が元に戻ると、割れていた海は閉じていた。


 ――要と一緒になるとは、こういう現象を引き起こすことが可能になったということか……。


 そう思いながら、俺の起こした現象に腰を抜かしそうになった。

 また、上がってきたモノが麻衣でなくて安心はした。

 だが……。


 ――これはいったい何の冗談だ?


『だまされた』


 心にその言葉が広がる。

 病衣を着せたマネキンを見ていると、うしろから濡れた砂地を踏みしめる音が近づいて振り返る。

 そこに鈴がビデオカメラをこちらに向けて、にやにや笑って近づいてきていた。

 これは……一瞬で察しがついたが、無性に不快な気分にも陥った。


「鈴。麻衣はどうした?」

「ご隠居と、一緒。ここ、あれで、見ている」


 鈴は片手を上げて無線操縦無人機ドローンに指を指した。

 見上げたあと、鈴に振り返って聞いた。


「これは何のドッキリだ? ドッキリでしたって看板は作らなかったのか? 凝ったことするなら、そこまでやれよ」

「城研のスタッフ、頑張った。これ以上、短時間で、無理」

「はあっ、それでこれは、その城研の試験なのか?」

「それ、近い。でも、ちょっと、違う。能力、判定。私、嘘言ってない、勾玉使い証明された。ビデオ、バッチし。ふふっ」

「こらっ。鈴。この茶番はお前のためか?」

「そんな、わけ、ない。もっと、重要事」


 道路上に一台のワゴン車が止まり、中から複数の男が降りてきた。

 その中に森永さんも入っている。


「忍、怒らす、この場所、最適」


 鈴の言葉で一気に脱力した。

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