猿とキジ


「そういやお前、今日入学式だったの?」



なんて串を捨てながら猿が言う。


「うん。そうだよ。」



キジは最後に残った緑色の団子をどう食べようかじっくり観察しながら応えた。


「へえ。どうだった?」


興味津々に聞いてくる猿。



「結構イってる学校かもしれない。」



私の言葉に半笑いして


「高校なんてそんなもんだし。


あ、お茶持ってきてー。ウーロン茶。」


 と、冷蔵庫に向かって指をさす。





ちっくしょ...。


猿横目に緑の団子にかぶりつくと串から剥ぎ取り、冷蔵庫へと直行する。




「団子には緑茶でしょ。」


といってお茶を注いでやる。


味覚もあほなのか。


ウーロンなんて。

せめて緑茶やろうに...






猿はそれでも 「お、やさしーじゃん。」


なんてこざかしいこと言ってくるけど。

まあ、あれよね


猿だし、うっとおしいけど、


ちゃんと 最後は「ありがとう。」


って言ってくれるから京君との関係は良好なんだと思う。








ーーーーーーーーーーーー



「あなたたち早くお風呂はいってきなさい!

もう、どっちが先に入るの?」



「おれ」 「私」



白澤家にはいくつかの決まりごとがある。

出来るだけ家族みんなでご飯を食べる事。

朝食抜きは処刑。

一度お風呂に入ったら家の外には出ないこと。←主に京君。



そして、

お風呂一番最後の人が洗濯当番。



冗談じゃない。

入学式やったんだもん今日くらい、いいでしょ。

いつも私が洗濯当番なんだもの。

京君ずっと「俺先に入るから。」宣言して、

絶対洗濯当番しないようにしてたくせに、今日くらい勘弁してよ。




お母様の声でまた喧嘩が勃発。


ワーワーと猿と言い合っていると

お母さまだったはずの鬼は猿とキジを捕まえ

「あなたたちは~~~~~!!!」と大激怒。


閻魔様も逃げ出すレベルだ..



嫌、鬼というより閻魔様なのか..?


そんな中、とても清らかな心の持ち主..犬が助けようと間に入ってきた。



必死に前足を動かして「やめてー」と間に入るが、鬼は犬には目もくれずに猿とキジに集中攻撃を繰り広げ、猿とキジのHPはすり減っていた...









「おかあさんや、こっちにきてお茶のもう。」


と桃太郎がのんびりテレビを見ながら声を掛けてきた。



桃太郎!!!!


やっぱり桃太郎は味方だねっ!!



しょげた犬も嬉しそうに桃太郎に駆け寄った。





さーて、お風呂はいろっと♪





そう思うと同時に向こうの方からシャワーの流音がした。





「待てコラ猿ゥアアアアアアアア!!!!」






本日何度目かの鬼が降臨した。







「っもおおおおおおおおっ!!!!あんた達いいいいいっ!!!!!!!いい加減にしなさいっ!!!」









---------------------------



「ほんっとうに!!誰に似たんだか!!」



確実に貴女だと思います。



猿とキジは言葉にするでもなくお互いシンパシーを感じた。





その後鬼の言いつけにより猿とキジは共に洗濯物を干した。


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