【Episode:04】過去に戻ることができた日
アルバイト
長かった一月期が終わり、誰もが待ちに待っていた夏休みが始まった。
だけど、遊んでばかりいられるわけじゃない。
大学や専門学校の受験を来年に控えた先輩たちは、課外授業や夏期講習を受けないといけないし、それ以外の生徒たちも、クラブ活動があったりで、夏休み中遊んでいられるわけじゃない。
私と麻衣は、まだ二年生で、進学クラスの生徒でもないし、クラブに所属しているわけでもないから、比較的自由に夏休みを使えるんだけど、一緒にカフェでウェイトレスのバイトをすることに決まっているから、週に三日は働かないといけない。
私と麻衣の夏休みの初日は、その、カフェウェイトレスのバイトで始まった。
ひらひらのフリルが付いた制服を着て、その店内を歩き回りながら、お客さんたちの注文を聞いて、その品を運び届ける。
最初は恥ずかしかったけれど、次々にやって来るお客さんの対応をしていると、それを忘れて仕事に励むことができた。
それに、何かに集中している方が良かった。
まだ、忘れることができずにいる、あの日、貴弘から向けられた、とげとげしく、冷たい言葉――
二度と貴弘と、仲が良かった幼馴染の関係には戻ることができないと思い知らされて、涙したあの時――
少しの間だけでも、その悲しみを忘れることができたから。
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