異世界で一番盛り上がるのは何祭り？『ドラゴン追い祭り』

ニケアＶＳアステマ。碧と紅の激突 バトル３

「まずは！　おまえからだ！！！！」

　ニケアが《氷剣》を構えた瞬間――

「キャハハ！　くらえ！」

　アステマが両手の火球を合わせて放った。

　爆音。衝撃。

　部屋に再び塵が舞う。

「いまのは……グラゾーマではない。グラだ……」

　そんなことをいうアステマ。それ、何ネタ？

　……いや、そういうの、いまいらないから。

「っうかニケア！　大丈夫か――!?」

　ブウウウン。

　――!?

　舞う塵のむこうに２本の青白い光。

「ニケア!?」

　《氷剣》を生やした左手刀が跳ね上げられている。まさか？　火球を切り裂いた!?

「――え!?　なッ」

　戸惑うアステマ。

「たぁあああああ！！」

　ニケが突進。

　シュ――。ババババババ！！

　ニケアが《氷剣》で、突きを放った。

「――ぐっ」

　油断していたアステマの身体を捉える連続の刃。とつぜんのことに避けきれていない。脚を。羽を切り裂かれる。飛び散る鮮血。

　致命傷をなんとか避けてはいるが、体勢が悪い。

　ニケアは容赦しない。

　強い！

「――くそっ」

　あっというまに壁際まで追い詰められるアステマ。

「これで、終わりです！！」

　ニケアは予備動作をとる。右手刀をおおきくひいた。

「ダイスケっ！　なにみてるの！　助けて！」

　……あ、そうだ止めないと！

「よすんだニケア！　それいじょうはいけない」

　オレはニケアの左腕を掴む。

　――ズッ。

「え？　ぐ、……あ！！」

　ひかれていたニケアの手刀が、オレの左フトモモを貫いた。

その場で体勢を崩す。

「ダイスケさん。……順番は後ですよ」

　この上なくつめたい表情でニケア。

「おとなしく……まってて」

「……ハイ。すいません」

　縮こまって返事をするオレ。

　こえええよ！　オレを見下ろすニケアこええよ。オレのしっているニケアじゃ無いって、アステマの言ったこと、あながち間違いじゃねえよ。覚醒してるよコレ！　狂戦士だよ。やべえって。マジで刺してきたよ。脚いてえよ！

「ナイス！　ダイスケ！　とお！」

　この隙を見逃さないアステマ。ニケアにタックル。

「!?――ぐ」

　もろに衝撃を受け、はね飛ばされるニケア。

「ダイスケっ！　あとはまかせた！　さらば！！」

　そのまま、すごい勢いでダッシュするアステマ。

　でた。固有スキル『逃げ足の速さ∞』

「――ばいばいきーん！！」

「って……おい！　マジか！　アステマまてや！！」

　……このタイミングでこれは――

　ない……。