オレは異世界の王となる!このノートの力で

「アステマ君。やればできるじゃあないか。オレは信じていたよ君のことを、うん」


「え、急にどうしたのダイスケ」


「そして、これだけはいいたい」


「?」


「おまえ悪魔だろ?」


「は? あくまじゃねーし!」


 この後に及んで否定するアステマ。こんなチートアイテムを渡してくる女神がいるわけがない。どこからどうみても、悪魔アイテムだろうに。


「フッ……どちらでもいいさ。だがアステマ、これだけは伝えたい……」


「なによ、あらたまって……」


「いまのお前は……」


「うん…………」


「オレにとっては――女神だ」


「ダイスケ……」




                😈




「えっと、ダイスケ。そのノートの使い方だけどね……」


「大丈夫だ。しっている」


「え? そうなんだ……」


「それよりもアステマ『ドラゴン追い祭り』の、参加者名簿を入手できるな?」


「参加者名簿? できるけど……」


「すぐにもってこい」


「そんなのどうするの?」


「どうするってオマエ、それは決まっている……」


 オレはアステマから受け取った黒いノートに目をやる。


「ダイスケ……本当に必要なの? 本当にそれでいいの?」


「ああ。覚悟は決めた。手をよごすのはオレだけでいい」


「……わかった。なにをするつもりか、わからないけど。もうなにもいわない。ダイスケ。名簿もってくるね」


 そういって、宿の部屋を出るアステマ。


 部屋にオレだけが残された。


「――ククッ」


 おもわず笑みがでる。


 まっていろよ、ドラゴン追い祭り。

 まっていろよ、バレンヌシア帝国騎士団。


「くふッ、あははははははははははははははははははははははッ!」


 再び部屋に響き渡る、オレの哄笑。


 これが笑わずにいられるか。ここで笑わず、いつ笑う?

 明日の勝利は約束された。


「まっていろよ、エルフハーレム!」


 オレは高々と、両手でノートを掲げる。



「オレは異世界の王となる!」

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