お祭り男はエルフハーレムという見果てぬ夢をみる
「……すきにすればいいじゃない」
じゃあ、好きにしちゃおうかな……。
――って、違う。
「なに勘違いしてんだよアステマ」
「……!?」
「オレが望むのは、駄女神のおまえじゃない。エルフだ」
「エルフ?」
「エルフ嫁をよこせ」
「エルフ? 嫁?」
「……エルフ嫁はファンタジー好き男子の永遠の夢。究極にして至高の存在。故にそれが叶えられるというならば、死んだオレも浮かばれる。というか、どうせ生きていても嫁はおろか、ブラック企業に命をすり減らされるような、しょうもない、くっだらない未来しか待っていなかったであろうオレにとって、むしろ僥倖。だから異世界でエルフ嫁と存分に幸せに暮らす所存。だからチェンジ! おまえチェンジ!」
「――ッ。なんていう侮辱」
「憤慨するまえに、服を着た方がいいぞ」
「ダイスケのバカッ!」
――バシッ。
「いたっ」
……なぜにビンタ。
😈
「ここに来る前に、街で何人かのエルフ娘とすれちがった。どの娘もひじょうに可愛かった。なのでエルフ嫁をください」
「え? あたしが? どうやって?」
「どうやって? って、おまえ女神なんだろ? どうにかしてだよ」
「たとえば?」
「たとえば、……そうだな。オレに惚れまくる魔法をかけるとか。オレにエルフを従属させるスキルをくれるとか。いや、ここは圧倒的な力で支配を……抗う心をねじ伏せて、逃れられぬようにして……ぐふふ」
「――ふっ」
すんげー鼻からの笑い。
……アステマの汚いモノをみる視線に、オレのこころが傷ついた。
「と、とにかく! なんらかの手段でだよ!」
「えー無理」
「無理って、判断はやっ!」
「そんな能力無いし」
「なんでもいうこと聞くって」
「あたしのできることなら、なんでも聞く。だからさっき――」
赤面するアステマ。
「あーそういうことか……ったく、駄女神が! やっぱ使えねえな……。しかたねえ服を脱げ。とりあえずオマエでガマンしたる」
「とりあえず。て……なんていう鬼畜」
「どうした? 駄女神。はやく脱げよ。さっきの続きだ――」
この際アステマでいいや。サクッと捨てとこか。
まぁ、十二分にかわいいし。相手にとって不足はない……。
「するかボケ!」
――ドス。
「ぐふっ」
こんどはみぞおちにグー。
「自分で声かけてこいクズ! 連絡先とか聞けばいいだろ? 結果はどうなるかしらないけど、自分で動け」
「ぐ……っ、バカ! そんなこと……オレに、できるわけないだろうが! 他人ですよ。しかもエルフですよ。ブロンドですよ。恥ずかしいし、ぜんぜんっムリ」
「……いや、他人で女神のあたしには容赦ないんだけど……」
😈
「あーなんかやる気なくなったわー。祭り」
「それは困るんだけどっ!」
「べつにオレは困らないし。明日棄権するわー。がんばってなアステマー」
「ちょっと待ってダイスケ! それだけは……」
「だってオレにメリットねーもんよ。ご褒美アステマってもなー。魅力ねーな。ドラゴン追うリスク冒してまで欲しいかと聞かれたらイラネ。そこまでする価値ねー」
「く、こいつ……殺してやりたい。……って、もう殺してたっけ――あ、そういえば?」
「うん?」
「『ドラゴン追い祭り』で優勝したら、皇帝が望みの褒美をくれるよ」
「なぬ!!」
「でっかい帝国だし。エルフ嫁ぐらいなら余裕じゃない? むしろエルフハーレムでも、ぜんぜんオッケーだと思う」
「エルフハーレム……。そ、れ、だ!」
「眼がこわいんだけど……」
「ッシャー! ハーレムきたあああああああああ!! (∩・∀・)∩ワッショイ! ワッショーイ!!」
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