即席の墓場

烏拾(うじゅう)

おしゃべりの相手


「もう嫌、あんたの取るに足らない話を聞くだけなんて金輪際願い下げだわ!」


それまで睦まじく語らいでいたはずの彼女が不意に怒りはじめた。


「そんなに、そんなに自分の話がしたいだけなら!いっそ相槌しか打てないロボットとでも相手をしてたらいいじゃない!」


彼女のヒステリックな癇声に辛抱たまらず、僅かに逡巡して、彼女を切った。



今度は不気味なほど黙りこくるようになった出鱈目な彼女を一瞥し、天井を見上げる。



わたしは乾いた唇を軽く舐め、肩を叩きながら、げんなりとした顔をして切り出した。



「お望み通りにしたのにさ、少しは自重というものをおぼえたらどうだい」

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即席の墓場 烏拾(うじゅう) @piolch

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