第3話 やってやるよ!


「狭間?じゃあ俺は死んだって事で解釈していいんだな?」


確実に死を体験した俺が生きているはずがない。目の前に居る【時空トラベル】とか名乗る会社の社長、ジェイルは空想上の人物。


俺が夢を見ていて、たまたま出て来た人物だ。実在しない。そんな都合いい話があっていいわけがない。


人生を取り戻せる?そんな都合いい話が……。


「ちょっとどういうシステムか聞きたいんだが」


「お?興味持って頂けましたか!?では早速過去へ戻りましょう!」


「いや…早すぎだろ!展開が早すぎる!」


「そうですかね?人生なんて常に急展開が起きるじゃないですか。烏丸さんだって友達と思っていた人物に殺されたじゃないですか」


「今…殺されたと言ったな?じゃあ俺は死んだんじゃねーか!」


「もう隠す必要はないですね。あなたは死にました。でも可哀想なんで生き返るチャンスを与えてあげます!はいこれどうでしょう?」


何が「はいこれどうでしょ?」だよ。少しドヤ顔だし…どういう性格しているんだ?

俺は1度死んだ。高杉に殺された。ジェイルはもう1度チャンスをくれるってわけだ。


こんな有難い話はない。高杉と一緒に帰らなければこういう事にはならなかった。

死ぬ1時間前ぐらいに戻り、俺は別の選択肢をすれば…普通に生きてられる。


「もう1度…生きたいんじゃないですか?」


「急に悲しそうな目をして…今までのテンションはどうしたんだよ?」


「いえ…友達に殺されるなんて悲しいと思っただけです」


「そうか?親に裏切られて殺される奴も現実には沢山いる。俺なんてまだ良い方だろ?…ジェイルは何で俺を選んだんだ?」


「ん~…じゃあこうしましょう!烏丸さんが過去に戻り、無事生き返る事に成功した場合、話してあげます」


「何だよそれ。ここは狭間なんだろ?俺が生き帰ったらもう会う事はないだろ」


「私を誰だと思っているんです?この空間は現実と行き来可能ですよ?」


「は?どういう仕組みだよ!?」


急に重大発言しやがって。気の抜けない男だ。もしそれが本当ならジェイルは普通に生きた人間ってわけだ。


「…じゃあ過去に戻り、生き帰ったら俺を選んだ理由を教えてくれるんだな?」


「もちろんです」


「やってやるよ。過去に戻って生き帰ってやる!あんな意味不明な死に方は気に食わないし、高杉をぶん殴りたいからな」


「決心付きましたね?では今から詳しい説明をします」





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