第2話 天国?
……ここは…どこだ?
俺は…そうか、死んだんだったな。高杉に刺されて。
アイツは俺を憎んでいたのか?いつも一緒に登校し、一緒に帰宅していた。
親友だったんじゃねーのか?俺は…死んで今どこにいるんだろう?意識はあるから魂が消えたってわけではないな。
俺は目を開けた。そこは暗闇の空間でまるで宇宙のようだった。じゃあ俺は今浮いているってことか?
いやそんな事はなかった。地面は白く輝いている。俺はそこで仰向けに寝転んでいる。手や足は動けるから拘束はされていないようだな。
でも身体が重く感じる。俺は何とかして重い身体を起こして、この宇宙みたいな場所へと立とうとする。
「アレ?もう立てるんですね?」
俺が立ちあがると目の前には白いスーツ、白いシルクハットを被った男性が見えた。その男性から発した声が俺の耳に届いた。
「誰だ?」
「私はジェイル。この【時空トラベル】へようこそ」
「は?」
「そういう反応になりますよね~。それはそうです、あなたは1度死んだのですからね」
やはり俺は死んだのか。さすがにウソではなかったようだ。もしかしたら超能力が働いて間一髪死なずに済んだのかと思った。
そんな想像はただの絵空事だったようだ。さて…【時空トラベル】と言ったか。
「まず…色々聞きたい事がある」
「そうですよね~。まずは私の名刺を渡しときますね~」
「いや名刺とかどうでもよくて…」
「どうでもよくないですよ。あなた高校生ですよね?これから社会人になるなら名刺がどれだけ重要か知っとかなきゃいけないです。まず名刺とは…」
「俺は死んだんですよ?高校生で人生が終わったんですよ?関係ないですよね?」
俺はガチのトーンで言った。意味不明な事を発するジェイルにほんの少し腹が立ったからだ。
「うーん…あなたは死んだんですけど、死んでないんですよね」
「……は?」
「この【時空トラベル】という会社は無くした人生を取り戻す事が出来るサービスを営んでおりまして。私はこの会社の社長なんですよ」
…何を言っているんだろう。俺は夢でも見ているのか?ならもう1度寝てみるか。俺はその場で横になって、眼を瞑った。
「あれ?何をやっているんですか?眠くなったんですか?おーい烏丸さん!」
「…おい」
「はい?」
「何で俺の名前を知っている?俺は1回も名乗っていない」
「あー…それは私がお客様を選んでいるからですねー。調査するときに名前を調べたんですよ」
はぁ…。これは現実なのかわからない。ここで寝ても何も変わらないようだな。まずうるさくて眠れもしない。
付き合ってやるか。夢が覚めるまでの間ぐらいはな。
「ジェイルと言ったか。ここは天国なのか?」
「狭間です。天国と現実の狭間」
やばい。突っ込むのが面倒だと思ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます