第14話

あの日。

中学生だった自分。

なにも知らなかった自分。

けれど。

一瞬で世界が真っ暗になった。


なんでもないいつもの日曜日。

水咲はひとりで街に出かけた。特に用事があったわけではなく、気分転換にぶらぶらしたかっただけだ。いろんな店を覗いて、そろそろお腹が空いてきた頃。

「あれ?」

人混みの中に見知った後ろ姿が見えた。見間違えるはずはない。

水咲は嬉しくなって駆け寄ろうとして――足が止まった。

間違いなく、兄、竜樹の後ろ姿だ。

けれど。

竜樹の隣に、知らない女性の姿があった。


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