うどんの姫騎士と金剛姫

第1話「うどん」

 ――ああ、美しい。

 私ことアンジェは、自室で一人、自分の美しさに酔いしれていた。カメラを寄せたり、引いたり、ぐるぐると回転させたり……ベストアングルを模索する。

 ヒュー族には珍しい色白の肌。まるで雪のような……いや、ここは「白薔薇」のようなと言いたい。髪色も白くロングヘアーで、大きな瞳と控えめな唇はローズピンク。装備の下に隠された抜群のプロポーションは……秘密の花園である。

 花園の番人……もとい、身にまとう装備も全て純白。甲冑も、スカートも、剣も、盾も……そのどれもが優雅さと気品を兼ね備えた一級品だが、今夜の主役は何と言っても髪を飾る「白薔薇のコサージュ」である。幾重にも重なった花弁が、光の当たり具合によって様々な表情を見せ 絶妙な味わいをかもし出していた。

 ファミリア「白薔薇騎士団しろばらきしだん」のメイトリアーク……団長として、どうしても手に入れたかったお洒落装備。実装前には錬金術師用のレシピだろうと目されていたものの、蓋を開けたらモンスターがに落とすレアアイテムだと発覚……熾烈な争奪戦の末、団員達の献身的な働きもあって、昨晩、手に入れることができたのだ。

 今夜はそのお披露目も兼ねた定例会だが、待ちきれず、コントローラーのスティックをぐりぐり動かしては、にやにやしている私である。さてと、お次は……。

 「/smile」「/grin」「/smirk」「/wink」……キーボードに入力したコマンドに合わせて、アンジェは次々と表情を変えていく。微笑、笑顔、真剣、ウィンク。

 もちろん、動作だって忘れない。「/pose」で目を閉じ髪を掻き上げ、「/think」で頬に指先を当てて小首を傾げ、「/happy」で飛び上がって喜び、「/blush」で顔を隠して恥ずかしがり、「/browkiss」で渾身の投げキッス……ああ、最高っ!

 ピピピ……目覚まし時計が鳴り、我に返る。時間だ。私は最後に「/straightface]で素の表情に戻し……ああいや、「/smile」で微笑を浮かべた。うん、これで良し!


 アンジェの部屋と会議室は隣接しており、扉を開けて部屋を出ると、円卓を囲んだ団員達が一斉に立ち上がった。一糸乱れぬ動きに、毎度ながら驚かされる。

 総勢12名。全員がルヴァーゼ族で、いずれ劣らぬ美男子揃いである。身にまとう鎧のデザインは統一され、色はもちろん白。褐色の肌とのコントラストが見事だ。

 白薔薇騎士団の入団条件は……一つ、ルヴァーゼ族の男性であること。一つ、身長は180センチ以上であること。一つ、ネタキャラではないこと(アフロ、ドレッド、リーゼント、スキンヘッドは禁止)。一つ、騎士(ナイト、暗黒騎士、竜騎士)であること……といった具合に、事細かに決められている。

 だが、それらの条件を決めたのは私じゃない。私は団長の座に就いてはいるものの、象徴的な存在というか、マスコットというか、その実体は……。

「姫様、なんとお美しい……」

 真っ先に声を上げたのは、「ナイト」のランディ。その肩書きこそ副団長だが、白薔薇騎士団の創立者であり、実質的なトップである。豊かな金髪が柔らかく波打ち、アンジェを見詰める金色の眼差しは、どこまでも優しい。綺麗な顔だけに右頬の傷跡は目を惹くが、それは若い頃にやんちゃをしていた名残だというのだから、ロールプレイが徹底している。やや古風な口調なのも、敬愛する騎士の影響だとか。

 ランディの第一声に続いて、団員達が口々に叫んだ。

「本当に素晴らしいです、はい」

「よくお似合いですよ、アンジェリカ様!」

「く~、最高っ! 苦労した甲斐があったぜ!」

「さすがは、白薔薇の姫騎士だ!」

「ヴォジャノーイ……いや、全ワールド一の美女!」

「ダルラジオンの奇跡!」

「アンジェ様、マジ熾天使セラフィム!」

「強さだけなく美しさも……天は二物を与えましたな!」

「我が生涯に一片の悔い無し!」

「目から汗が……私は今、感動している!」

「アンジェリカ姫、万歳!」

 拍手に口笛、クラッカー……称賛の嵐に、アンジェは微笑みと頷きで応える。

 ……ああ、嬉しい! 苦労して手に入れたアイテムを装備し、見せびらかし、褒めそやされる……この瞬間のために、私は冒険をしていると言っても過言ではない。

 本当は飛び上がったり、走り回ったり、照れて見せたり……もっと全身で喜びを表現したいところだが、それは姫の態度としては問題があるので、ぐっと我慢する。

 称賛は当たり前……それが家臣に示す姫の態度なら、感謝の気持ちは同胞に示す騎士の態度。……そう、私は姫であり、騎士でもある。つまりは、「姫騎士」なのだ。

 感謝の気持ちを「ありがとう」という言葉に乗せるのもいいけれど……アンジェはその場で軽やかに一回転、スカートの裾を摘まみ上げてお辞儀する。団員達はどよめき、さらなる称賛をアンジェに浴びせる。……き、気持ちいい!

「……さて、このまま姫様の美しさを称え続けたいところではありますが……時も限られております故、定例会を始めたいと存じます。姫様、よろしいですかな?」

 ランディの言葉に、私は「もう?」と思ったけれど、もちろんそれを口にすることはなく、アンジェは一つ頷き、円卓の前に設えられた玉座に腰を下ろした。すっと背筋を伸ばし、会議室を見渡す。それを合図に、団員達もそれぞれ着席した。

「ではこれより、定例会を始めます」

 ――バンッ! ランディの言葉を打ち消すように、扉が開く。私が目を向けると、そこにはガルディン族の男性が立っていた。頭上の名前はエドモンド。

 ガルディン族は小柄な者でも2メートルを超え、まるで熊のような……と形容されることが多い。だが、別に毛むくじゃらというわけではなく、筋肉質で、がっちりとした体型が特徴だ。それは女性においても同様で……好みが分かれる種族である。(私は一緒に冒険するのは良いけれど、操作するのは遠慮したい……そんな感じ)

 エドモンドは、そんなガルディン族でも最大……2メートル50センチはあるだろう。扉よりも背が高く、毛皮の鎧を身にまとい、巨大な戦斧を背負っていた。

お前か!」

 ランディが声を上げる。そう、エドモンドはいつもお馴染み……というか、白薔薇騎士団の天敵……いや、アンンジェの天敵? ううん、そんな言い方は悪い気がするし、一番近いのは……アンジェのファン、だろう。それも、熱狂的な。

 いつもは遠くからアンジェを見詰めているだけ……というのも、エドモンドは町中でアンジェに抱きつこうとして、団員達に撃退された過去があるからだ。それ以来、エドモンドは要注意人物に指定され、アンジェの半径20メートル以内に接近した場合、問答無用で排除することが定例会で決められている。

 それでも、エドモンドは折に触れてアンジェに接近しようとしては、団員達に撃退され……を繰り返していたけれど、ここ最近は大人しかったのに……。

 会議室にその姿を現してから、エドモンドは微動だにしない。だが、その鋭い双眸がアンジェに向けられていることは疑いようもなかった。……さて、どうしたものか。毅然きぜんとした態度で受けて立つか、不安げな態度で目を逸らすか……。

「可憐だ……」

 エドモンドは厳つい顔をぐにゃりと歪め……と、次の瞬間、その姿がアンジュの正面、円卓の上に移動した。「縮地しゆくち」……指定した最大20メートルの地点まで、一瞬で移動できるスキル。「戦士」だと思っていたのに、「忍者」のスキルまで……!

 円卓で仁王立ちするエドモンドは、頭が天井に届きそうなほどで、アンジェにその影が……と、エドモンドは宙を舞い、玉座もろともアンジェに覆い被さった。

「きゃーっ!」

 私とアンジェが揃って悲鳴を上げる。

「姫様をお助けせよ!」

 ランディの号令で、団員達が一斉にエドモンドをターゲット。剣や槍を構えて突撃すると、派手なエフェクトと効果音、数字が乱れ飛んだ。エドモンドは一瞬で崩れ落ち、その顔が毛足の長い絨毯に埋もれる。それを見下ろすアンジェの前で、その巨体が消滅。戦闘不能になったので、ホームポイント……拠点まで戻ったのだろう。

「姫様、ご無事ですか?」

 アンジェはランディ、次いで団員達に向かって肯いて見せる。

「皆さん、ありがとう」

 団員達が返礼し、席へと戻る中、ランディはアンジェに声をかけた。

「姫様、毎度のことで恐縮ですが、GMコールをお願い致します。全く、運営はなぜあのような蛮族を野放しにしているのか……解せませんな」

 私はアンジェを肯かせながらも、運営の対応は当然だろうと思った。確かに、不法侵入や痴漢行為は大いに問題があるだろう。それがリアル……現実の話ならば。

 だが、ここはあくまでオンゲーの世界である。この白薔薇騎士団の本部も、他のファミリアが所有している家と(大きさはXLと最大で、所有者が限られているとしても)変わりはなく、仕様上、他のプレイヤーが自由に出入りできるようになっているし、それが嫌なら、家の扉に鍵をかけることだってできるのだ。

 襲われたことに関しても……まぁ、思わず声を上げちゃったものの、GMコール……運営へのハラスメント報告が必要かと言えば、そうではないと思う。それは別に襲われても良いということではなくて、何か不快に思う間もなかったというか……私はむしろ、団員達による集団暴行の方が問題ではないかと思うぐらいだ。

 白薔薇騎士団の本部は対人戦が可能なエリアに設定されており、それを了承しなければ入れないようになってはいるが……それは身内で対人戦を楽しむための仕様であり、部外者を寄ってたかって叩きのめすためのものではないと、私は思う。

 だから私は、GMコールをしていない。それでも、ランディから本当にGMコールをしているのかと追求されたことはなく、願わくば、今後もそうあって欲しかった。

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ランディは腕組みをして口を開く。

「それにしても、候補生は一体何をしていたのだ?」

 候補生とは、その名の通り白薔薇騎士団の候補生で、要は見習い期間中の団員である。正式な白薔薇騎士団の定員数は12であり、現在は全て埋まっているのだが、優秀な候補生には昇格のチャンスがあり、逆もまた然り……と、厳密に定められているようだ。……ようだというのも、私も詳細までは知らず、候補生が何名いるのかも分からない。それらを把握しているのはランディ、そして……。

「事実確認、完了。離席していたようですね、宅配便が来たとかで、はい」

 そう応じるのは、ランディの右腕であるウィルソン。団員で唯一の眼鏡持ちで、小柄な頭脳派だ。(といっても身長は180センチ、腕の立つナイトである)。白薔薇騎士団創立時のメンバーでもあり、人事を含む裏方の仕事一手に引き受けている。

「その程度で持ち場を離れるとは……嘗められたものだ。除名の方は?」

「完了済みです、はい」

「そんな……」

 ランディとウィルソンがアンジェに視線を向ける。……しまった、思わず口を出してしまった。ランディが一度決定したことを撤回するはずがないし、ウィルソンも除名は完了済みだと言っている。手遅れであり、私の出る幕でもなかった。

 黙り込んでいるアンジェに、ランディが肯いて見せる。

「姫様はお優しい。除名と聞いて心を痛めておいでだ。しかしながら、白薔薇騎士団には規律というものがございます。それを遵守してことに当たるのが団員であり、それは候補生と言えども同じこと。与えられた役割を、リアルの用事で投げ出すなどもっての外……当然、規律違反であり、除名が適当と存じます。これは当人にも入団審査で重々申し入れておりますので、姫様が気に病む必要はございませぬ」

 有無を言わさぬ迫力とは、まさにこのことだろう。先に挙げた入団条件も、ランディとウィルソンが決めたことだ。全ては姫……アンジェを頂点とした白薔薇騎士団を、長きに渡り存続させるため。その熱意は分からないでもないけれど……。

 ランディはアンジェの反応がないのを訝しがってか、さらに言葉を続けた。

「……よもや、彼の者に愛着でも?」

 その一言に、全ての団員の注目がアンジェへと集まった。……そう、姫はどんな人にも分け隔てなく接しなければならない。特定の誰かに特別な愛着を示してはならない。誰かに優しくしたら、誰にでも優しくしなければならない……それが、姫。

 そのために、取り得る道はただ一つ……それは、どんな人にも一定の距離を保つということ。それが姫の生きる道だと、私はこの世界で姫として生き、学んだのだ。

 ――だから。アンジェは首を振って見せる。実際、名前だって知らないのだから。

 ランディはにっこりと微笑み、会議室の張り詰めた空気が和らいだ。

「それでは、定例会を始めましょう」

 アンジェは玉座に腰掛け、団員達も着席する。ランディは円卓を見渡した。

「……昨晩、我々は悲願である白薔薇のコサージュを手にし、姫様に献上することができた。その成果、素晴らしさも先程、皆で共有したところである。だが、手放しで喜ぶことができないことは、けいらも知っての通りだ。実装から一ヶ月という遅さ……このヴォジャノーイにおいて、最初にそれを手にするのは姫様を置いて他にないと、入念な準備を重ねてきた結果が、この様である。もちろん、想定外の入手方法だったことも事実だが、それが言い訳にもならないことは、卿らも分かっているはずだ。だがこれ以上、過去ついて語ったところで意味は無い。大事なのは未来だ。二度とこのような不甲斐のない結果で、姫様を失望させることのないよう、白薔薇と名のつくもの……いや、白と名の付くものは全て、我々が真っ先に手に入れ、姫様に献上することを、白薔薇騎士団の金科玉条きんかぎょくじょうとする。異存はあるまいな?」

 一斉に肯く団員達。アンジェも肯いたものの、そこまでしなくても……というのが本音である。もちろん、白薔薇のコサージュは欲しかったけれど……どうも、モンスターの取り合いは苦手だ。もっとも、取り合いに精を出したのは団員達で、アンジェはモンスターが占有状態になってから参戦と、随分と楽をさせて貰ったのだが……。

「よろしい。では次に、本日の議題……来週に迫ったアップデートについて。細かなバグ修正がその中心であると言われていたが、いくつか調理師用のレシピが実装されることが追加発表されている。実は先程、開発ブログにおいて実装される料理のアイコン画像がポロリされていたのだが……その中に、白薔薇騎士団としては絶対に見逃すことのできない料理の存在を確認した。それは、うどんである」

 ――うどんだって! アンジェは思わず玉座から立ち上がり、注目を集める。

「……何でもありません。先を続けてください」

 アンジェはそう口にすると、取り澄ましたように着席。ランディは肯いた。

「……これは次の拡張ディスクの舞台と噂されている東方の料理であり、開発が噂を肯定したとも取れるが、我々にとって重要なのは、どうすればそれを作ることができるかということだ。恐らく、アップデートで追加される新たな素材が必要になるだろうが、それ以外にも必要となりそうな素材を選定し、確保しておく必要がある。性能は未知数だが、我ら白薔薇騎士団の食事として正式採用することも視野に……」

 ランディの話は続いているが、私の頭にはうどんしかなかった。うどん。この世界でもうどん。私は……いや、僕は、うどんから逃れられない運命なのだろうか?


 ――僕の名前は香川伸幸かがわのぶゆき。中学時代のあだ名は「うどん」。理由は簡単、「香川」という名字のせいだ。……香川県はうどん県だなんて、誰が言い出したのだろう?

 ただ、僕にうどん的な要素がないかと言えば、そうでもない。色白で小太り……「小」と入れるのがプライドというか、悪あがきというか。そして、弾力のあるうどん肌……本来は餅と言うべきだろうが、うどんの方がしっくりなのはやはり、名字のせいだろう。また、伸幸の「伸」という文字も、拍車をかけたに違いない。

 ――名は体を表す。……いやいや、僕は香川であって、うどんではないのだが。

 この春、地元の時風高校に入学してから早一ヶ月。僕はまだ、誰からもうどんと呼ばれていない。地元とはいえ、僕の通っていた中学校から時風高校への進学は難しく、模試の結果も散々だったけれど、最後まで諦めずに頑張った甲斐があった。担任の安西先生も「香川は腰があるなぁ」と称賛してくれたが、そこは本来「腰が強い」と言うべきところではなかったかと、僕は今でも思っている。

 ……そんな望むと望まないにもかかわらず、うどんみたいな僕には、もう一つの顔があった。アンジェリカ。愛称はアンジェ。MMORPG「ファーストファンタジー」……通称「FF」のキャラクターである。人呼んで、白薔薇の姫騎士。

 アンジェは僕と似ても似つかない……というか、性別すら違う……美人である。色白の肌はうどんではなく、白薔薇。うどんの色であることはともかく、僕は白という何物でもない色が好きなのだ。だから二年程前、女性キャラクターが美人だからという不純な動機でFFを始めた僕は、自分の分身となる女性キャラクターを作成する際、肌の色をできるだけ白く、髪の毛も真っ白にした。瞳と唇まで白くすると、さすがにお化けみたいだったので、アクセントとしてピンク色を採用。今でこそローズピンクで通しているが、当時の僕はカマボコピンクだと思っていた。

 男の僕が女性キャラクターを動かす……これはネットのおかま、いわゆる「ネカマ」という奴だが、別に女の子になりたいという願望があったわけではない。

 遊んでいる間、ずっと自分のキャラクターが画面に映ることを考えると、それが男ではテンションも上がらないし、装備を変えると見た目も変わる……着せ替えが楽しめるとあれば、あんな服やこんな服、果てはそんな服まで……と、女性キャラクターを選ぶより他に道はなかったと思うし、それはもう、大正解だった。

 現実ではうどん、ゲームでは白薔薇……僕はそんな二重生活を送っていた。それは高校生になっても変わらないし、ずっと続いていくだろうと思っていた。

 ――あの日までは。

 

 その日の昼休み、僕は食堂にいた。いつもは一年A組の教室で一人、持参したお弁当を食べているのだが、今日は珍しくお母さんが寝坊したので、初めて学食を利用することになったのだ。僕は五百円玉を握り締め、券売機に向かう。

 ずらっと並んだメニューは……日替わり定食、カレー、ラーメン、カツ丼、スパゲティ……など定番のラインナップで、どれも低価格だ。それもあってか、食堂は大盛況。「でもね、お弁当の方が安上がりだから!」……というのが、お母さんの弁。

 僕はうどんのボタンを押し、お釣りを制服のポケットに、引き替え券を手にして、配膳口の列へと並んだ。すぐに自分の番が来て、割烹着かっぽうぎ姿の職員さんに券を渡す。

 ――待つこと数分。僕はうどんが乗ったお盆を受け取り、食堂を見渡した。すると、空いている六人掛けのテーブルを発見。僕はその端の席に座り、うどんに目を落とした。透明なだし汁……讃岐うどん。刻みネギ。天かす。カマボコ。

 ……断っておくが、僕はうどんが好きなわけではない。どちらかと言えば、蕎麦の方が好きだ。でも、ついついうどんを選んでしまう。それはなぜかと問われたら……それが僕、香川伸幸の生き様だと答えるより他にない。

 まぁ、安いしね。僕は手を合わせ、心の中で「いただきます」と呟き――。

「香川君、隣空いてる?」

 僕が顔を上げると、お盆を手にしたクラスメートの七海さんが立っていた。反射的に肯く僕を見て、七海さんは「良かった!」とにっこり。……う、可愛い。

「コータ、空いてるって!」

「分かったから、大声を出すな」

 七海さんが振り返った先には、同じくクラスメートの宮城君。七海さんは椅子を引いて、僕の隣に腰を下ろした。お盆の上には日替わり定食……今日は豚の生姜焼きで、ご飯にお味噌汁、小鉢には切り干し大根。七海さんの隣に座った宮城君は、カツ丼とミニうどんのセット……うどんはともかく、カツ丼は大きな体にぴったりだ。

「あー……やっぱり、うどんも美味しそうだなぁ」

 七海さんは頬に指先に当て、を覗き込む。

「おい、手を出すんじゃないぞ」

「そんなことしないもん!」

「本当か?」

「うん。コータのを貰うから」

「何でだよ」

「だって……二つもなんて、ズルくない?」

「セットにズルいもあるか。お前も頼めば良かっただろ? カレーセットとかさ」

「だって、そんなに食べられないもん」

「じゃあ、我慢しろ」

「だから、一口だけ。お肉、一枚あげるから」

「お前なぁ……って、勝手に食うな!」

「ん、美味しっ!」

「ったく……おい、カマボコは見逃せって!」

「初めて来たけど、学食もいいね! ユッキーもくれば良かったのに」

「有紀はちゃんと弁当を持ってきてたからな」

「でもさ、ママがお弁当を作り忘れて、コータのお母さんもって、偶然だよね!」

「家は親父だ。それに、作り忘れたんじゃなくて、締め切りがやばいんだって」

「へぇ、作家さんも大変だねぇ」

 ……僕はそんな二人のやり取りに聞き耳を立てながら、うどんを食べ進める。

 この二人……付き合っているのだろうか? まぁ、僕には全然、全く、関係のないことなのだが、ただ一つだけ、気になっていることもあった。それは……。

「そういえば、次のアップデートでうどんが実装されるんだって!」

「うどん? 何でまた……てか、今までなかったのか?」

「それはもう、剣と魔法のファンタジーですから!」

「……でも、実装されるんだろ?」

「うん。次の拡張ディスクが東方を舞台にしてるから、その布石じゃないかって」

「なるほど。考えてみれば、忍者も侍も普通にいるもんな」

「そうそう! 他にもおにぎりやお寿司……二十年越しの大願が叶ったって、フォーラムも賑わってたし、パパとママも感慨一入かんがいひとしおだってさ!」

 ……そう、どうやらこの二人もFFプレイヤーのようなのだ。そして……僕はちらりと隣の七海さんを見やる。ポニーテール。その髪型を見ていると、僕は遙か遠く、別の世界へと旅立った親友のことを、思い出さずにはいられないのだ。


 ナナ。彼女は僕の……私の親友であり、ヴォジャノーイ・ワールドではその名を知らぬ者がいないほど有名な冒険者だった。ご両親は全ワールド屈指のプレイヤーで、娘であるナナの実力も一級品。あのエンハンスブレードの所有者というだけでも、桁外れなことがよく分かる。また、両親、娘というのはロールプレイではなく、リアルな話だというのだから……本当、ナナには驚かされることばかりだった。

 冒険を始めて間もなく、私はナナと出会った。序盤のおつかいクエストの目的地が分からず、右往左往している私に「どうしたの?」と話しかけてくれたのだ。その頃は当然、ナナが有名人だとも知らず、親切な人だと感激。私は勇気を出して初めてのフレンド申請を送り、ナナは快く承認してくれた。それからも、ナナは初心者の私を何かと気に掛けてくれて……お話したり、冒険したりと、仲良くなった。

 後に有名人だと知ったが、ナナは気さくで、それを感じさせなかった。ただ、ナナほどではないにしろ、私が白薔薇の姫騎士として有名になったのは、ナナのお陰である。他でもない、私のことを最初にそう呼んだのは、ナナだったのだから。

 ……そんな親友も、この春にバグベア・ワールドへと移転してしまった。突然のことで驚いたけれど、それが出会いを求めるためと聞いて、ナナらしいなと思った。お父さんとお母さんの出会いに憧れていることは、よく聞かせて貰っていたから。

 ……そして、七海さんである。七海七瀬。ナナ。FFプレイヤー。ポニーテール。入学式で一目見た瞬間、「ナナ!」と思った女の子。私の……僕のクラスメート。

 だけど、そんな偶然があろうはずもない。FFは日本中……いや、世界中のどこからでもプレイできるのだ。同じ高校、同じクラスになるなんて、宝くじで一等が当たるようなものではないのか? そもそも、ナナという名前がリアルと同じだとは限らないし、同年代とも限らない。性別は同じ女性のはずだけれど、七海さんはナナと比べると幼いし、背だって低い。それでも……口調とか、良く似ているんだよなぁ。

 ……とはいえ、七海さんに確かめることなどできるはずもない。僕は人と話すのが苦手だからだ。お父さん、お母さん、先生……目上の人とはまだ話せるけど、同年代となるともうお手上げだ。何を話していいのか分からない。FFの話なら……駄目だ、ちゃんと話せる自信がない。FFだって……アンジェだって、姫騎士という立場のお陰で話せているようなものだから。

 だから……僕に友達はいない。FFの親友も、別の世界へ行ってしまった。ナナは今もバグベア・サーバーで出会いを求めて奮闘してるはず……そう考えると、すでに宮城君と出会っている七海さんがナナのはずがない。僕はそう、結論づけた。

 

 僕は黙々とうどんをすすり、完食すると、隣でいちゃいちゃしている二人を尻目に立ち上がった。すると、宮城君が「騒がしくてごめんな」と声をかけてくれた。七海さんも「ごめんね」と頭を下げる。僕は肯くことしかできなかった。……こちらこそ、いちゃいちゃしているなんて思って、ごめん。

 そそくさと、逃げるように、お盆を持って返却口に向かう途中、僕は異様な光景を目にした。お昼休みはまだ半ば、混雑の度合いは先程より増して、どのテーブルも満席。僕が席を立ったテーブルもすでに埋まっている。……そんな状況にも関わらず、その六人掛けのテーブルには、なぜか一人しか座っていなかった。なぜだろうと僕はその一人に目を向け……すぐに納得する。金剛寺先輩だった。

 金剛寺こんごうじ姫子ひめこ。十八歳。三年生。生徒会長。この学校に通っている以上、彼女の顔と名前を知らない者はいないだろう。地元の名士「金剛寺家」の令嬢で、世が世なら本物のお姫様だった……かもしれないという女性だ。四月六日生まれ。牡羊座。O型。

 時風高校の創立には金剛寺家が関わっており、全ての生徒の模範となるため、金剛寺家の子息・息女は時風高校に通うのが慣例になっているという。

 ……なぜ僕がそんなに詳しいかと言えば、時風高校のホームページやパンフレットにそう書いてあったからだ。特にパンフレットでは表紙を飾っており、こんな美人が実在するのかと、目を疑ったものである。(精巧なCGかと思ったぐらい)

 艶やかな黒髪は長く、その射貫くような眼差しは、パンフレットの写真でさえ、目を合わせるのが困難なほど力強い。面相筆ですっと引いたような眉毛。鼻筋は高く、きゅっとき結んだ唇は朱色。うどんでも白薔薇でもない、まさに雪のような白い肌。 

 174センチという長身で、足も長い。制服はブレザーなのだが、金剛寺先輩が着ると和の雰囲気を感じるから不思議だ。両手を覆う白い手袋も印象的である。

 事前情報は十分……それでも、本物の金剛寺先輩を目にすると、その全てが吹き飛んでしまう。近寄りがたい雰囲気とはこのことで、テーブルが空いてるのも当然だ。もし金剛寺先輩が隣にいたら……僕だって、うどんも喉を通らないであろう。

 ……そう、うどんである。あの金剛寺先輩が学食というのも驚きだが、前述の生徒の模範という観点なら、生徒が多く集まる学食を利用することはむしろ自然なのかもしれない。だが、それにしても、うどんとは、どういう了見なのだろうか。

 金剛寺先輩はうどんを食べていた。それは僕が食べたものと同じはずなのに、金剛寺先輩が食べているだけで、何か特別な、高級な料理に見えてしまう。

 白い手袋で覆われた金剛寺先輩の右手が、黒いお箸を操る。すると、透明なだし汁から摘まみ上げられた白いうどんが、朱色の唇に吸い込まれてく。食堂は騒がしいが、金剛寺先輩の周囲だけは水を打ったように静まりかえっているので、離れた場所にいる僕ですら、耳を澄ませばその旋律を拝聴するできるかもしれなかった。

 金剛寺先輩は慌てず騒がず、一定のリズムで、まるでうどんを食べる作法というものが存在するかのように、粛々とうどんを完食。丼に残った汁はどうするのか……固唾を呑んで見守っていると、金剛寺先輩は何と両手で丼を持ち上げ、その端に唇を当て、汁を飲み始めたではないか! どよめきが起こった……のは幻聴で、金剛寺先輩が丼をお盆に戻した途端、僕は我に返った。いつの間にか、金剛寺先輩の食事風景に見入ってしまっていたのである。それは僕だけではなくて、遠巻きで金剛寺先輩を見ていた生徒達が、一斉に動き出した。僕も手にしたままのお盆を、返しに向かう。

 ……本当に凄い人というものはいるものだなぁ。本物の姫というものは、金剛寺先輩のような存在なのかもしれない。アンジェとは随分違う……仮初めの姫とは。


 放課後。僕は誰よりも先に教室を出ると、昇降口へと向かった。

 部活はやっていない。もちろんFFで遊ぶためだが、毎日の勉強……宿題、復習、予習……が大変だというのもあった。無理して入った学校だから、こうなるのも仕方が無いとは思っていたけれど……想像以上だ。授業も難しく、それなのにすいすいと進み、他の生徒は平然としているものだから、先生に質問しようにも「こんなことも分からないのか?」と言われてしまいそうで……手を挙げることができなかった。

 だから、自分でどうにかするしかない。とにかく勉強、勉強。だが、夜には定例会も待っていた。今日の議題も、どうせうどんに関わることに違いない。

 高校生になってからというもの、僕は毎晩の定例会を負担に感じるようになっていた。定例会だけで一日のプレイが終わることもよくある……というか、最後に一人で遊んだのはいつだったか。ここ一ヶ月は定例会もそこそこに、団員達と白薔薇のコサージュを手に入れようと頑張っていたから……春休み頃までさかのぼらないといけない。

 もちろん、団員達と一緒に遊ぶのも楽しいし、そのお陰で一人では入手困難なアイテムを手に入れたり、一人では挑戦できない高難易度コンテンツをクリアしたり、FFを深く遊べているのも事実だ。協力プレイは、オンゲーの醍醐味でもある。

 でも、たまにはのんびり釣りでもしたい……が、かつてランディに釣りをしているところを目撃され、「姫様が釣り……」とどん引きされてそれっきりだ。……ナナとの釣りは楽しかったなぁ。ナナがレアモンスターを釣った時は、大騒ぎだった。

 ……そんなことを考えている間に、僕は下駄箱に到着。蓋を開けると、靴の上に手紙が置いてあった。僕は反射的に蓋を閉じる。……十秒待ってから、再び蓋を開いてみると、手紙は変わらずそこにあった。僕は周囲を窺いつつ、手紙を素早く手に取って、鞄の中に放り込むと、近くの男子トイレに向かい、個室に入って鍵をかけた。

 下駄箱に手紙とあっては、ラブレターを連想しない男はいないだろう。僕もそうだが、同時に思い浮かんだのは入れ間違え……そして、いたずらの可能性である。

 ――それでも。ラブレター、そして告白という一連の流れに思いを馳せないわけにはいかなかった。告白。いかにも僕には無縁な言葉だが、僕だって告白されたことがある……いや、正しくは僕ではなく私……FFの話だが、告白されたことは事実だ。


 ……そう、あれは忘れもしない、忘れることができない出来事。FFを始めて数ヶ月、よく遊んでいたフレンドから告白されたのだ。フレンドは男性キャラクターだったので、私は噂に聞くエタコンの申し込みかと思ったのだが……。


「アンジェさんって、本物の女性ですよね?」


 ――頭が真っ白になった。

 私はそれまで、ゲームの中でプレイヤーの……リアルの性別を意識するという発想自体がなかったので、余りの衝撃に、ただただ画面を見詰め、固まっていた。

 どれぐらいそうしていたのか……でも、私はそこで「違います」と言うことができなかった。だから、「ごめんなさい」とだけ伝えた。その後、そのフレンドはログインしなくなった。……私のせいかもしれない。いや、間違いなくそうだろう。

 私は悩んだ。こんなこと、ナナにだって相談できない。むしろ、ナナが私をどう思っているのか……そんなことを考えてしまい、深みにはまっていく一方だった。

 それでも、一人で解決するしかない。私は悩みに悩んだ末、このまま冒険を続けることを決めた。なぜあの時、私はフレンドに自分は男だと告げることができなかったのか……その答えを、自分なりにではあるが、見つけることができたからである。

 それを一言で言えば、私はアンジェだということ。FFの世界において、私はアンジェ以外の何者でもなく、それ以上でもそれ以下でもないということだ。

 つまり、私はFFではアンジェとして生きていこうと決めたのである。今、あの時と同じ告白をされたら「そうです」と答える……そんな覚悟をしたのだ。

 それはネカマの生き方かもしれないが、誰に何と言われようが、どう思われようが、私はアンジェだ。例えそれを動かしているのが香川伸幸……うどん男だろうと、だからといって崩れるような関係を、私はFFに求めていないのだから。

 それからも、私は何度も告白されたのだが、全て断っている。それは私のリアルが男だから……というわけではなく、アンジェとして断ったということだ。

 白薔薇騎士団にメイトリアークとして招かれてからは、告白されることもなくなった。一方で、団員達が私のことをどう思っているのか……気にならないわけえではないけれど、私はアンジェとして振る舞うだけである。それが、私の答え。


 僕は鞄から手紙を取り出し、色々な角度から眺めた。白い無地の封筒。宛名も差出人の名前もない。感じる重みは……紙質の影響だろうか? それとも、中に何か?

 ……アンジェとしては告白されることにも慣れてきたが、僕自身がそれに向き合う日が来るなんて、思いも寄らなかった。もちろん、予習だってしていないから、どうしたらいいのか、またどうするのかは、自分の頭で、今、考えなければならない。

 はっきりしているのは、このまま無視することはできないということ。そして、この先に進むための行動はただ一つ。僕は丁寧に糊付けされた封筒の口を、ゆっくり、時間を掛けて、ぺりぺりと剥がした。果たして、その中に入っていたのは……。

 

 屋上にて待つ。


 ……筆ペンを使ったのか、そう達筆で書かれた紙が一枚。小さな鍵が一つ。

 さて、どうようかと、僕は紙と鍵を手にして首を捻る。紙に宛名や差出人の名前が書いてあれば良かったのだが、これでは謎が深まるばかりである。

 僕はしばし考えた後、屋上に行くことを決めた。ヒントがこれだけでは、いかなる名探偵でも事件を解決することはできないだろうし、もしこの手紙が間違いでも、いたずらでも、それを受け取ってしまった以上、気にならないはずがないのだから。

 それに……人を待たせるのは、どうも苦手な僕だった。


 男子トイレを出た僕は、階段を上って屋上を目指す。屋上に行くのは初めてだけれど、とにかく階段を上っていれば着くだろう……という僕の考えが当たり、ほどなく三階建ての校舎の三階で、さらなる高みへと続く階段を発見した。

 階段の先に待っていたのは屋上……ではなく、引き戸の扉。それが真新しい南京錠で施錠されているのを見て、いたずらという言葉が脳裏をよぎったが、すぐに思い直し、封筒に入っていた鍵を差し込んでみると……カチリ。あっさり解錠できた。

 ……ちょっと、楽しいかも。単に扉の鍵を開けただけなのに、それがFFのダンジョンみたいだと思いついた途端、面白くなってくるのだから現金なものだ。

 ただ、扉に鍵ということは、この先で待っているであろう人物はどうやって屋上に……別の入り口があるのだろうか? それとも、人物ではないのか? ……いやいや、単に協力者が……僕は思わず振り返ったが、そこに人の気配はなかった。

 ……不安。だが、ここまで来た以上、引き返すわけにもいかない。僕は南京錠と鍵を制服のポケットに入れると、引き戸を開けてその先へと足を踏み入れた。

 夕焼けに染まりつつある空……屋上である。転落防止用か、周囲を金網がぐるっと取り囲んで……それはともかく、僕はそこに立つ人物に目を向けざるを得なかった。

 ――金剛寺先輩。

 実は引き戸を開けた瞬間、僕の目に飛び込んできたのは腕組みをしている金剛寺先輩の姿で、反射的に引き戸を閉めそうになったのを、それは失礼だと思い止まり、とりあえず屋上に出て、まずは周りの景色を……と思ったのだが、あの金剛寺先輩から視線を逸らすことなんてできるはずもなかった。……出オチもいいところである。

 いずれにせよ、僕がここに来たのは間違いだということが確定した。金剛寺先輩が僕に用があるはずもないのだ。……告白? とんでもない! 僕はとにかくこの場から一刻も早く離れたい一心で、無礼も承知で後退り……と、背中がぶつかり、振り返ると、扉が閉まっていた。開けようとしても、びくともしない。前に向き直れば、金剛寺先輩。一歩、また一歩と、こちら近づいてくる。僕は扉に背中を押し当てた。

 金剛寺先輩は僕の数歩手前で立ち止まった。吹き抜ける風に、黒髪がなびく。

「香川伸幸だな」

「は、はい!」

 思わず返事をする僕。……まさか、金剛寺先輩の口から僕の名前が出るとは思わなかった。ということは、あの手紙は間違いではなく、金剛寺先輩は僕を? ……いやいや、でも、そんな……疑問や戸惑いは尽きないが、それにしても、入学式でスピーチを聞いた時にも思ったけど、金剛寺先輩の声、意外に高くて可愛――。

「私を弟子にしてくれ!」

「……はい?」

 深々と頭を下げる金剛寺先輩を前にして、僕は呆然とすることしかできなかった。

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