憮然(本来は「茫然自失」に近い意味だが……)

 「憮然」の「憮」は「心が無い」の会意文字で、意味は「がっかりする」「驚いて呆れる」と言ったものです。

 だから「憮然」は「がっかりするんだこれが」のような意味になる訳ですが、違う意味で使われるのが一般的になっています。


 恐らく印刷物で「ぶ然」と書かれることも多いからでしょう。「ぶ」の音に引き摺られて「いらいらする」「怒る」のような意味で受け取られているのです。

 「ぶーぶー文句を言う」「ぶうたれる」「ぶつくさ」など、「ぶ」で始まる言葉には不満たらたらな感じのものが多く、そしてそれらの言葉の使用頻度が高いので、成るべくして成ったのでしょう。


 既に辞書にも「憮然」の意味として「不満なさま」が加わっていたりします。

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