幸せを

あのとき、君は黙って私を変えてくれた。

ほんの一瞬だったけどあのとき君が助けてくれなければ。

私は死んでいたのかもしれない。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


カランカラン。


軽いチャイムがなる。私は扉の方に向かって笑った。

「いらっしゃいませ~」

「あ~!また来たよん♥」

「キャ~嬉しいです~」

軽いトークをしてお客さまをイスに座らせる。そして、お客さまのカットメニューを聞いて要望を答える。それが私たちの仕事だ。

「お前な~、ちゃんと敬語を使え!」「いや~ん先輩コワ~イ。」

「あまり、苛めないの!」

そう、隣のアシスタントをしてる先輩こそ私の尊敬している人。

そして、

「ほら、こっちやるから休憩してこい(ボソッ」

「えっ?けど、」

「休憩してないだろ?ほら。」

ニコリと微笑む先輩にときめいてしまう。


そう、好きなんです。先輩。




ハァ~

ため息がこぼれる。

けど、先輩は婚約者がいる。優しそうでなにより幸せそうに笑ってる君が。

「何が言いたいんだろう。」

「何がですか?」

「うわぁ!!いたの?」

「ひどっ!?」

目の前には後輩がいた。

ピアスを色んな所をしている、痛いのが嫌いな私には無理だな。とかいいつつピアス開けてるけど。

「舌は痛いよ。」

「まぁ、痛かったすけど。


ベロチューすると気持ちいいみたいですよ?」

「知るか。」

「即答!?(泣)」

だって、知らないもん。後輩は意味不明だし。まったく。

「ほら、仕事!」


ーーーーーーーーーーーーーーーー



「おーい。店閉めるぞ~」

「あっはーい。」

もう少し練習したいんだけどな~。

しょぼんとしてると。

「ハァ~少しだけだぞ!」

「えっ?いいんですか?」

「特別♥」

そう言って頭を撫でるのが愛おしいと思う。

ずっと。あのとき先輩が止めてくれなければ私は死んでいた。

ずっと。ずっと。

「先輩。ありがとうございます。(グスっ」




今日で先輩は退職してしまう。

今日でもうあの人の者だ。

だから、私は泣いてるけど感謝をしよう。

ありがとう、大好き。


「うん。お前も新しい恋をしろよ。 (ギュー」

「先輩。(グスっ

最後にワガママいいですか?」

「おう、なんだ。」

「あのですね、~~~~~」





ーーーーーーーーーーーーーーーー「ハァ~!食べた食べた~!」

「先輩(汗)一応きれいな格好してるんですから(汗)」

「いいの!今日は結婚式の帰りなんだから。」

「けど、いいんですかー?」

「いいの!」


そう、私は先輩の笑顔さえ見れればそれでいい。思いっきり髪切ったし。

「新しい恋を見つけないとな~」

「先輩。じゃあ、僕にします?なぁーんて」

「いいかもね~」

「またそ、って、えっ?えっ?なんて?」

「だから、いいかもって」


んっ?急に固まったぞ。

なにか変な事言ったかな?

そうすると後輩が抱き締めてきた。

「ちょっ!コラッ!」

「だって、可愛いですよ。僕待て出来ませんよ?」

体にはふわふわと胸が当たる。私はそんなにないけど、後輩があるそうだ。じゃなくて!ヤバイ。顔が

「クスッ 先輩顔真っ赤~

あんまり煽らないで下さいww」

「煽って////やっぱりなし!」

「無理です。だってもう。」


小悪魔が耳元で囁いた。

「僕に夢中でしょう?」

「~/////////」

「アハハ、真っ赤~」


先輩。新しい恋は小悪魔がイタズラして早く実りそうです。



だから、幸せになってくださいね。


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