知らない同居人

 間宮春明まみやはるあき、二十四歳。


 独身。一人暮らし(式神つき)。彼女なし。


 趣味は写経とソシャゲと指遊び(これは指を使って犬やカエルなどいろいろな形を作る遊びで、春明はこれで延々と一人遊びが出来る。下手すると一日三時間ぐらい遊んでいられる。悲しい青年だ)。


 職業、陰陽師。


  *****


 四歳児を家にあげたとて、一体どのようにもてなせばいいのか。


 間宮家は仮にも一軒家なので広さはそこそこあるが、その広い家に住んでいるのは独身男と狐一匹。狐は半霊体の式神なので、実質暮らしているのは春明一人だけである。当然、家にある品々もそれに相応しいものしかない。


 なので。


「おーい識。冷蔵庫の中に入ってる色つきの飲み物って酒と栄養ドリンクしかねぇんだけどー。オロナミンCって子供に飲ませてもいい?」

「フォックスアタック!」

「ぐおっ!!」


 まずは飲み物でも出してやろうと思い、家事掃除から家の在庫管理までを一手に引き受ける有能式神にお伺いを立ててみたら、いきなり尻尾で叩かれた。


 毎日のシャンプーとリンスとトリートメントとブラッシングを欠かさない識の毛並みはふわふわとして心地よかったが、それはそれとして痛かった。


 ていうか、主人を殴るなよ。

 殴るなよ!


「おんまっ……いきなり、なにすっ……!」


「何を、ではござません! アホですかアホなんですか主殿は!?」


 唐突に主君に対して反逆の尻尾を振りかざした識は、しかし反省の態度なとおくびにも出さず不機嫌そうに顔をしかめている。とはいえ狐なので、やはり表情は一切分からないが。


「あの手の栄養ドリンクにはカフェインが含まれているのです。昼中であればまだしも、このような時間帯に子供にカフェイン飲料を与えようなどと、一体何を考えているのですかあなたは」

「だって他に飲み物ねーじゃん!」


 かなり一方的な押しかけ客とはいえ、子供相手に水道水をそのまま出すのはさすがに少し気が引ける。そんなこちらの微妙な葛藤を嘲笑うかのように、識はふん、と鼻を鳴らした。


「なければ作ればよろしいのです。ちょうど牛乳を切らしていたのは失策でしたが、主殿の焼酎セットに使う蜂蜜とレモンはございますから、それでホットレモネードでも作ってあげればよいでしょう。作り方は私が教えて差し上げます」


「えー……それ俺がやるの?」


「当然でしょう。私がやったら黄泉戸喫よもつへぐいになってしまうではありませんか」


 気乗りしない春明に当然のように言い放つ。


 識は掃除洗濯買い物に箪笥の整理や貯金と仕事のスケジュール管理、はては主人のファッションセンスの教育と、基本的になんでもござれの便利式神だが唯一、炊事だけは絶対にしない。出来ないのではなくしないのだ。


 一般的に、式神というものは主に『使役されるもの』であって提供する側ではない。主人から霊力の供給、あるいは契約という呪によって主従関係を結んではいるものの、彼らの本質は人間ではなく異形なのである。


 黄泉平坂よもつひらさかの逸話を説くまでもなく、古来より『異界のものを口にした者はそちら側の存在となってしまう』パターンは多い。故に。正しく学んだ術者であれば、どんな守護や護法であっても絶対に食事の用意だけはさせない。


 それを口にする度に、己が人でなくなってしまうからだ。


「いくら見鬼の才があるはいえ、あんな幼子に異形の作る食べ物を口にさせるべきではありません。ただでさえ、子供は異界に馴染みやすいのですから」

「頭じゃわかってるんだけどさー。他のことは大抵出来るのに炊事だけが一切できないって、肝心なところで役に立たないよねお前」

「なんですと失敬な!!」


 怒りで我を忘れた識が、ぶわっと毛を逆だたせた。 


 ふしゃーと威嚇しながら全身の鞠のように膨らむ様は、狐というよりまるきり猫である。


 狐ってイヌ科じゃなかったのか。

 ネコ目だから猫っぽくてもありなのか。


 肝心なところで役に立たない式神に理不尽にも怒られたので、春明は仕方なく自分で飲み物を用意することにした。


 識に言われるままに小鍋に湯を沸かし、そこにたっぷりの蜂蜜とレモン汁を少々。銀のスプーンでくるくるとかきまぜると、溶けた黄金色の蜂蜜が鍋の中で不思議な文様を描きだした。


 小さめのマグカップにレモネードを注ぐ。作ってみたら意外と美味しそうなので、ついでに自分の分も淹れることにした。識は式神なので飲食は必要ない。


「ほいよ。お待たせー」


 ほんのりと湯気をたてるカップを二つ手に持って子供の待つ居間へと向かうと、彼女は座布団の上に行儀よくちょこんと座っていた。


 改めて小さい。居間にあるのはイマドキっぽいイケアで売っているようなソファとローテーブルではなく、家を買った時についてきた(家具据え置き型物件でその分お得だった。一家惨殺された際に血まみれになったことさえ気にしなければ)年代物のちゃぶ台で、足はどっしりと太く低い。が、サヤカにとってはそのちゃぶ台さえも高いらしく、座布団を二つ折りにしてようやく顔が覗くくらいだった。小さい。というより多分、上半身がものすごく短い。


「これが平成生まれの実力か……」

「主殿も平成生まれの筈ですが」

「俺は昭和と平成のギリギリ狭間で生まれたタイプだから新人類としての遺伝子の恩恵には預かれなかったんだ」


 一抹の悲しさと虚しさを胸に秘め、ちゃぶ台を挟んでサヤカの向かいに腰をおろす。狐は当然のような顔でその二人の中心点――つまり上座に座った。お前がそこに座るのか。


「はいどうぞ。あちぃから気をつけな」


 式神についての突っ込みはとりあえず放棄し、サヤカにカップを渡してやると、子供はありがとう、とお礼を言ってふうふうと吹いた。ふうふう。ふうふう。口が小さいのでなかなか冷めない。


「――で。ちょっと事情がよく分からないんで、改めて聞かせて欲しいんだけど。君がこの家に暮らすってのはどういうこと? おじさんってのは誰に言われたんだ?」


 聞きながら、春明の脳裏に浮かんだのは嫁候補ならぬ弟子候補という言葉だった。


 春明は陰陽師としてのトータル能力は中の下くらいだが、なぜか見鬼の力だけは抜きんでて優れている。こと見鬼能力だけに限れば、歴代の間宮家でもトップクラスと言われるほどだ。


 確かにサヤカは幼いながらも見鬼の能力がある。識が視認出来ている時点でそれは間違いがない。七つまでは神のうちと言うように、子供の頃は総じて異形との親和性も高いものだが、ただでさえ後継者不足に悩むこの業界。才能ある子供に早めに唾をつけておこうとしてもおかしくはない。


(問題は宗家から送り込まれた弟子候補だった場合、こっちに断る手段がないってことなんだよな……俺、普段はサラリーマンやってるのに)


 きょうび霊能一本で生きていくなど夢物語だ。副業としてならばともかく、陰陽師としての収入だけでは生活は成り立たない。だけでなく、ローンも組めないし下手するとクレカの申請だって通らないし、もちろん社会的な信用だってない。なので春明は、陰陽師の副業でたとえどんなに高収入を得ようと、絶対に会社を辞めるつもりはなかった。あぶく銭をあてにして生きていけるほど現実は甘くない。


 が、彼女が告げてきたのは、宗主ではなく全く別の名前だった。


「えっとねー。アキ……あきながおじちゃん? ていう人」

「そんな冬将軍の永遠のライバルみたいな名前の人うちの親戚にいたかなぁ」


「主殿。ひょっとして秋貴アキタカ様のことでは?」

「ああ。兄貴か」


 ぽんっと手を打つ。そういえば兄はそんな感じの名前だった。


「つっても俺、兄貴からなんの連絡も受けてないぞ。困るよー。こういう大事なことは事前に伝えてくれないとさ。報連相の徹底は社会人としての常識じゃん?」


 やれやれと溜息をつくと、春明の真似をするようにサヤカがぱちんと手を打った。真似のはずなのに、オリジナルの春明よりもはるかに可愛い。


「あのね。さや、まみやのおじちゃんのお手紙もってるよ。家についたら渡してって、ゆうびんやさんお願いされてたの」

「まじで!? それを先に言えよ!」


 思わず大声をあげるが、サヤカは驚く様子もなかった。ごそごそと例の大きなリュックサックから一通の封筒を取りだし、渡してくれる――のかと思いきや、なぜかそれを持ったまま部屋を出ていってしまう。


「……え? いやどこ行くんだよその手紙くれよ」

「待ってて。いま、さやがゆうびんやさんになるから」


 受け取ろうと差し伸ばした手をあっさりと無視して、サヤカはすぃっと襖をしめた。次いで「ぴんぽーん」と電子音じゃない呼び鈴の音が響く。ものすごく肉声の。


「ゆうびんやさんでーす! お届けものでーす」

「あ、はい。どうぞ」


 返事をすると襖が開いて、サヤカがちょこちょこと入ってきた。はい、と封筒を差し出してくるので手を出すと、今度は無視せず渡してくれる。


「お届けしたのですたんぷりーください」

「すたんぷりー?」


「すたんぷりー」

「あ、ひょっとして『Stamp please』のことか!」


 発音が悪すぎて分からなかった。どれどれと探すが生憎手元に印鑑はない。仕方ないので識の前足で肉球スタンプを手のひらに押してやると、サヤカは満足したのか再び座布団の上に座った。


「今のくだりは必要あったのか……?」

「主殿。幼子の行動にいちいち意味を求めてはなりませぬ」


 封筒の宛名には兄の悪筆で『我が愛する弟へ』と記されていた。この時点で破り捨てようかと思ったが、正面では白ヤギさんならぬ郵便屋さんがしっかりと見張っている。読まずに捨てるわけにはいかない。


『春明へ


 やっほー、ひっさしぶり! お兄ちゃんだよ。元気してたー?


 突然ですが、実はお兄ちゃんはちょっと困ったことになりました。というのも、職場の同僚が仕事で事故って入院することになって、その間に子供を預かるように頼まれちゃいまして。俺も知らない子じゃないし、母子家庭で親戚もいないっていうのでしゃーねーなといぶし銀な気持ちで引き受けたんだけど、都合悪いことに俺も急な出張が入っちゃったんだよねー。引き受けたあとに気づいたけど。小笠原諸島。あれ東京都の管轄だったんだねビックリだよ。人生最大のビックリだよ。


 そんなわけで申し訳ないんだけど、しばらくの間、俺の代わりに娘ちゃんを預かって貰えないかな? 彼女の名前は由良小夜香ゆらさやかちゃん。四歳です。四歳だけどすごくしっかり者で可愛い子です。きっと春明とも仲良くやれると思います。仲よくやれなくてもなんとかして欲しいと思います。いざとなったら識に子守をぶんなげればいいと思います。あいつ、そういうの得意そうだし。


 ささやかですが(嘘です本当はちっともささやかじゃないでーす)十万円をさやっちの生活費として同封しておきます。お兄ちゃんちょっとフンパツしました。もちろんおつりはいらないから、これでさやっちと一緒に美味しいものでも食べてください。


 保育園は春明の家から通える場所だし、保育料は母親の口座から自動引き落としなので心配ないです。ちゃんと先生にもお話してあります。

お兄ちゃんは離島で頑張って仕事してきますので、なにかあったら連絡ください。


PS でも小笠原諸島って電波悪いから携帯通じないみたい。仕事落ち着いたらこっちから連絡いれるからそれまで待っててね。


                お兄ちゃんより』


 ――殺そう。


 純粋な。何よりも純粋な。


 研ぎ澄まされた刃の如き殺意が、静かに春明の内を満たしてゆく。ショックのあまり思わずその場で五体投地しながら、それでも口調だけは冷静に彼は式神に命じた。


「……識。今すぐ硯と筆をもて。ちょっと今からあの馬鹿呪詛る」

「お気持ちは分かりますが落ち着いて下さい主殿。あなた呪詛とかめちゃくちゃ下手じゃないですか」

「これが冷静でいられるか!」 


 怒りを糧になんとか姿勢を立て直し、春明は絶叫した。


「見鬼能力持ちの子供がいきなり家を訪ねて来たから、てっきり宗家からの弟子候補かと身構えたのに! 本当に弟子候補だった場合、けど会社はそろそろ年度末に向けて繁忙期だしそんなに長期間休めないし、一体この子をどうすればいいのか真剣に考えてたのに! 見鬼も宗家も一切関係ないただの子守じゃねーかなに考えてるんだあの阿呆は!!」


「恐らく何も考えてないかと」


「だいたい、自分は仕事があるから預かれないって俺は仕事がないとでも言いたいのか!! してるっつーのめちゃくちゃしてるっつーの! 知らない子供の面倒みてる暇なんかねえっつーの! それにこの子も! 陰陽師としての修業をするわけでもないのに、いきなり見ず知らずの男の家に預けられたって困るだけだろ……う、に――」


 憤慨しながら同意を求めようとサヤカを振り向き――思わずぎょっとして言葉に詰まる。


 見ると。サヤカは。


 ――泣いていた。


「うぅ……ふぐうう……うえええぇぇ……」


 大声で泣きわめくわけではない。ただ小さな顔をくしゃりと歪め、肩を震わせながら静かに嗚咽を漏らしている。


「え、えっ、えええええ……!?」


 突然の予想外の事態に春明が困惑の声を上げると、一人(一匹)素知らぬ顔で上座に腰かけていた狐がやれやれと呆れたような溜息をついた。


「主殿……鬼ですかあなたは」


「えっ、待って俺!? これ俺のせいなの!?」


「当たり前でしょう。あなたね、このくらいの歳の子供が『夜』に『一人』で『知らない大人の家を』訪ねるなんて、どれほどの勇気がいるか分からないのですか? それをさも迷惑だと言わんばかりに文句ばかり並べ立てて……仮にどんな不本意なことであったにせよ、それは周囲の大人の問題であって、この子にはなんの罪もないでしょうに。まったく……あなたには人の心というものがないのですか」


「……あぅ」


 猫目イヌ科の狐から、人の心について説教を受けた。


 しかしこれに関してばかりは傷つく余地もなく。むしろ怒られて当然のことだった。


 サヤカは俯いたまま泣いている。ぽたぽたと零れ落ちる涙が、彼女の服にいくつもの染みを作っていた。小さな女の子は泣きながら少しだけ冷めたレモネードを一口飲み――リュックを背負ってのそのそと立ち上がる。


「ごちまさそうでした……おじゃましました……」

「ま、待って! 待って待って待って待ってごめんなさい俺が悪かったからちょっと本気で少し待って!」


 泣きながら立ち去ろうとするサヤカを慌てて止める。男女逆転した金色夜叉のような図になったが、さすがに泣いている子供を目の前にして寛一とお宮ごっこをする余裕はなかった。そこまで春明は人間を辞めていない。


「そ、そもそもどこに行く気だよ!? ていうかほら! 君の家、いまお母さんが入院中なんだろ!? 一人で留守番とか危ないんじゃないかな!」

「ほいくえんにいく」


「保育園は夜間営業はしてないと思うなー! だいたい道が分からないだろ?」

「おまわりさんにきく」


「外はもう真っ暗だぞ危ないぞおまわりさんに会う前に悪い人に掴まっちゃうかもしれないぞ!」


 そこまで言って。


 春明はふとあることに気づいた。ぽつりと呟く。


「……そういえば君、そもそもどうやってここまで来たんだ? 外はもう真っ暗だったろうに」


 春明の問いに、サヤカはこともなげに答えた。


「まみやのおじちゃんがつれてきてくれた」

「小笠原諸島じゃねえのかよあの野郎!!」


 サヤカに対して含むものはなかったが、兄に対する怒りだけは留まるところを知らなかった。


 一瞬いまからでも兄を追いかけようかと悩んだが、どうせ無駄だろうと思い直す。それよりも、問題はこの子供――サヤカだ。


 正直、兄の都合など知った事ではなかったが、それはそれとしてこの子供には罪はない。何はともあれ罪はない。聞けば、母子家庭の上に親は入院中だという。だからといって、それが春明に関係あるのかと言われればキッパリとノーだが、さすがにこの状況ではいそうですか、と知らんぷりを決め込むわけにはいかない。


(ま、仕方ねぇか……)


 幸い、家は古くても広さだけは充分にあるので部屋はかなり余っている。これから一生面倒を見ろと言われたら断るが、少しくらいなら泊めてやれないこともない。


「……とりあえず、今日はもう遅いしうちに泊まっていきなよ。見ての通り、この家は俺と狐しかいないから部屋は余ってるし。一人で寝るのが怖いならこいつ貸してやるから」


 びろーんと子猫の首根っこを掴むようにして識を差し出してやると、サヤカはもふもふに心を奪われたのかぎゅっと式神を抱きしめた。その瞳から涙の気配が遠のいたのを見て、ほっと安堵の息をつく。


「えーと、その……さっきは大声で文句言って悪かった。怒ってたみたいでビックリしたかもしれないけど、怒ってたけど怒ってたのは君のことじゃなくて、俺の兄貴のことだから君は何も気にしなくていい」


 安心させるように言い聞かせるが、サヤカの心配を取り除くにはまだ足りないようだった。黒曜石のようにきらきらとした瞳が、不安にかげって揺れている。


「……さや、ここにお泊りしても、いいですか?」


 子供のそんな様子は見ていてあまり楽しくない。春明は頭を掻いてため息をついた。


「……これは単なる持論なんだけどさ。俺は子供の仕事は大人に甘えることで、大人の仕事はめいっぱい子供を笑わせることだと思ってるよ」


 言われた意味が分からなかったのか。


 あるいは少し難しすぎたのだろう。サヤカはきょとんとした顔を浮かべた。そのほっぺをちょっとだけつねり、ぐいっと口角をあげさせる。


「つーまーり! 子供がいちいちその日寝る場所の心配なんかすんなってこと! そういうのは大人が考えるの! 小さいうちは元気に笑って周りがくれるものにありがとうってちゃんと言えればそれいいの! おK?」


「うん……あり、がとう……」


「よろしい。んでさっきも言ったけど、俺は春明。君の知ってるまみやのおじさんの弟で間宮春明っていうんだ。こっちの狐は識。兄貴と同じ間宮だと名前がかぶるし、俺のことは春明って呼んでいいよ」


「よろしくお願いします。サヤカ嬢」


 それに聞いて、サヤカは。


 戸惑うように目をぱちくりとさせ。だが次第に理解が届いたらしく、緊張で強張っていた顔つきがゆるゆるとほどけていった。


 それはまるで。春に雪が溶けだすように。


 ゆるゆると。ふんわりと。泣いていた女の子はそして、自然な笑みを浮かべた。



「――うん! ありがとう春明おじちゃん」

「俺はお兄ちゃんだ」

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