魔族、罠を張る
3-1:ノエラの知る彼ら
最近は家が賑やかだ、とノエラは思う。
ノエラが起きたときから二人が家にいて、その日の計画を計画を練っている、
「おはよう、ノエラ」
「朝食の用意はできているぞ」
「おはようございます、バルン、ロミロフ」
初めて見かけた、目は見えないので声を聞いた時は破落戸に絡れていて、萎縮して声も出せないのかと思い、助けに出てやろう、自分は戦えるわけじゃないから注意を引いて逃げる手助け程度だがしてやろうと思ったら、あっという間に二人を倒してしまった、バルン。
なんだか妙な奴だとノエラはその後を付け、どうやら泊まる宿がないと困っていることを知り、これは恩を売るにはいい機会だと誘ってみたのだ。
そんなこともあってバルンは今やノエラの家の居候、一通りの家事も任せられるし、人が多い場所は誰がどこにいるのかわかりづらく苦手だったが故に出歩けなかった昼間にも出歩けるようになった。
なにより彼は文句を言わない、何を頼んでもそういうものだと納得してやってくれる。
今はいない両親の寝室をあてがっておくだけでそれだけの働きをしてくれるのだ、ノエラはこれはいいものを拾ったものだと思った。
元々、色々な人に助けられて生活しているノエラでは、逆らわないからといって無茶苦茶な要求をすることはできなかったが、今まで不便でこそなかったが、面倒に思っていたことを任せるにはうってつけだった。
しかし、逆にバルンからの要求を断ることもできない。
あまり要求してくることはないが、ロミロフと行動を共にし、魔族から襲われる危機を回避しようという、納得のいかないことを承諾することになった。
逆に危険ではないかとノエラは思ったが、ロミロフとの話は調子よく進み、承諾されてしまった。
そして、何度か襲われたものの、ロミロフはすぐに魔族を倒してしまうし、バルンの守りは完璧。
そのうちに、もうこのままでいいかと思うようになってしまった。
嫌になれば断ることもできるだろうし、バルンが秘密にしているであろうことを、私は知っている、これを言えばバルンが嫌と言ってもなんとかなるだろう。
そしてロミロフ、彼がノエラを気にかける理由はわからないが、とても良くしてくれる。
困ってると聞いたからと言っているが本当のところはわからない。
彼も、バルンと同じように何か秘密にしていることがあるようだが、何を秘密にしているのかはわからない。
ノエラにわかるのは、ロミロフが非常に強く、魔族にも負けないということぐらいだ。
バルンよりも長い付き合いだが、一緒に暮らしているわけでもないし、お互いに知らないことも多いのではないかと思う。
それでも、友人としてのロミロフは大切に思う。
→ → →
「来ないね」
「うん、来ない」
「来ないな」
ここ5日ほど魔族の襲撃がない。
北町にある喫茶店の跡地、屋外席で待っているが全く来ない。
ロミロフは何度か夜に使い魔を見かけて倒しているらしいが、インクリス自身は来ないし、他の魔族も来なくなった。
「これは、ロミロフに勝てるのではないかと思うような魔族はいなくなったということかもしれんな」
「それは助かるね、四六時中警戒しているのも疲れるものだし、来なくなったというのは平和でいい」
(あまり角は集まっていないのだが、まぁ、いくら集めても得られる力は微々たるものだし、来ないのならばそれはそれでいいか)
「もう来ないとなると、この集まりも解散ってことでいいのかな」
「そうだな、今日で最後にするか」
「そうですね、結構楽しかったのですが」
ノエラはやや不満そうだが、あれだけ頻繁にあった魔族の襲撃が止んだとなると特に集まる理由もない。
「まぁ、こうやって一緒に色々回ったりはしなくなるかもしれないけど、家にお茶を飲みに行ったりはするよ」
「まぁ、いいでしょう」
魔族から守ってもらうために集まることはなくなっても、友人としての付き合いがなくなるわけではないので、止める理由はノエラにはなかった。
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