The beginning 3
世界をあるニュースが震撼させた。
「ゾンビウイルスの発見」それはヨーロッパで発見されていたウイルスだった。
正式名称は感染性神経麻痺乾腐ウイルス。だった気がする。
マウスによる実験での症状は凶暴化と生命力の増強、感染すると一週間程の潜伏期間を経て死亡。その後一割ほどのマウスにその症状が見られた。また感染方法は血液や体液からの感染と傷口からのウイルスの侵入だった。
人間への感染もヨーロッパ全域とアメリカ西部から南部、それとロシアの一部で確認された。
パンデミック。パニック映画の定番であるが実際に直面したいものではない。
そして世界中の人間が恐れていた事態が現実になる。
近年稀に見るレベルの世界的大流行だった。新しいウイルスであるが故に直し方もなく潜伏期間中は通常の人間とほとんど大差は無い。強いて言うならば感染した段階から感覚が麻痺し始めるらしい。見分けることは不可能だった。
日本への上陸はある日の臨時ニュースになった。
ブラジルから帰国した会社員の男性らしいが日本初の患者になってしまった。
熱、関節の痛みを訴えインフルエンザなのではと思われていたが容体が急変したとのことだ。
それから数日の間で国内のありとあらゆる都市で暴動が起こった。感染者と思われる人間に噛まれたり傷つけられた人間が溢れ隔離されるも患者数は増えるばかりだった。
一年と持たず多くの国が消えた。
日本もその内の一つだ。ゾンビの弱点は脳、それは定番だし学者が言うにはこのウイルス性感染症は脳神経を麻痺させることから始めるらしいのだ。しかしだ、感染したての人間というのは映画のゾンビのように腐ってもいない。普通の人間なのだ。その頭を砕くことのできる人間と国は生き残った。
あとは、そうだ。家の外にほとんど出なかった人間。
俺がそうだ生では一度しか見たことが無い。コンビニに行く途中で腕が曲がっちゃいけない方向に曲がっているのに薄ら笑いを浮かべて歩いている人間だ。怖かった。俺は必要以上にゾンビたちを恐れた。
当然だろう。死にたくないのだ。
この時から俺は誓っている。どんなことをしてでも俺だけは生き残ってやると。
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