第3話

女子トイレに着き、中を見ると、そこでは、同じクラスメイトで

普段あまり喋らない大人しい感じの天世聖那あませまりな

ホースで水をかけられてずぶ濡れで座り込んでいた。

そして、その娘に水を掛けて笑っている2人組の女子は、リボンの色が

青色から、おそらく、同学年の娘だろう。それを見兼ねた俺は、

中に入っていって、2人組の女子の内、水を掛けている方の娘の

手を掴み、ホースを取り上げた。

「お前ら、何してんだよっ!しかも授業中に!」

自分の事を棚に上げて2人を睨みながらそう言うと、

「頼飛君っ!ちっ‥ちがうの!だって..この娘が悪いの!友達

なのに私達を裏切ったから!」

「裏切った?」

そうよ!その隣の娘が 、今にも泣きそうな顔で、

「こいつ、私達に断りもせず‥!ら‥‥」

と、そこで言葉が途切れ、顔を真っ赤にさせて行く。

「そこでなんだよ‥!」

すると、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、

「ら‥‥頼飛‥君に‥ラ‥ラブレター!をだしたのよっ!」

「はぁ?なんだそれ!?」

予想もしてない答えが帰ってきたからびっくりしてしまった。

「っていうか、なんで俺に手紙渡すぐらいでお前らが怒るん

だよっ!全然関係ないだろ!?」

「そういうルールだから‥」

「ルールって‥」

ため息をつき、俺は着ていたブレザーを脱ぎ、天世にそっと

掛けてやる。

「何だか知らないがお前ら、2度と天世に!こんないじめするん

じゃないぞっ!次見掛けたら絶対許さないからな!」

また睨みつけると、泣くのではなく、今度は顔を赤らめ

そこから2人して、走って出ていった。

俺は天世の前に屈み込み、

「もう大丈夫だからな!お前は俺が守ってやる。いつでも

相談でも声掛けて来いよ!」

天世はコクンッと1回だけ頷き、俺は、和らげな声で頭を

撫でてやった。そして、立ち上がり、

「さてと、とりあえず保健室にでも行くか。そこになら

着替えぐらいあるだろう」

と、起き上がらせるように手を差しのべようとした時、

後ろから女子の声が聞こえてきた。

「ちょっと、何してるの?今の娘顔真っ赤にして

出ていったけ‥ど」

振り返ると、そこには、わが校の才色兼備の生徒会長。

仲野愛美なかのめぐみが立っていた。

そして、全身びしょ濡れの女の子。顔を真っ赤にして出ていった女の子。

さらには、ここが女子トイレということどう見ても、状況を知らないと俺‥加害者?

「ちょっちょっと!あなたいったい!ここで何してたの!」

まぁこうなりますよね!弁解のために口を開こうとした瞬間!

会長の右拳が俺の顔面目掛けて飛んできた!

それを、右手で受け止める。

「ちょっ!会長これは誤解ですから!殴らないでください!」

そう言うと、今度は左腰に目掛けてキックが来るのを左腕で

防ぐ。

「この状況を見てどう誤解って言うのよ!!」

言葉とともに左拳も飛んで来るから、左手で受け止め、

両手が塞がった会長から、また足が飛んできたら怖いから、失礼

ながら両足の爪先を踏ませてもらい、身動きが取れないように

して、それでもまだ抜け出そうと暴れようとする会長に、

再び弁解しようとすると、後ろに居た天世が、

「ちっ違います!頼飛君は悪くないです!ただあの人達じゃら助けて

くれただけですから!!」

と、立ち上がり、綺麗な透き通った声で話してくれた。

そしたら、会長から力が抜けたから、俺も手を離して足を退けた。

「そうだったの。だったら早くそう言いなさいよー。まったく」

いやいや、言いましたよね!と、内心思ったが、めんどくさくなって

来たから口には出さなかった。

「じゃあ。あなた、生徒会室に来なさい。着替えあるから。

それと、君も!」

トイレから出ようとしていく会長に

「えっ俺も!なんで?」

「1発も当たらなかったけど‥いきなり殴りかかってしまったから

お詫びにお茶でも飲んでいって!どうせもう十五分くらいで

1時間目終わるし、私に呼ばれてたって先生に言ったらすこしは、

先生もおまけしてくれるでしょ。私から言っとくわ」

スタスタと歩いていく。

「じゃあ。行こかな。ほらっ。天世も行くぞ!」

手を差し出すとおずおずと手を出してきて、それを

握り、手を引いて会長の後に着いて行った。

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