第2話
結局女は刺繍とフリルがたっぷり付いたワンピースを何枚か購入した。汚物が少女趣味な服を着て出歩くなんてハロウィンでもありえないことだと思う。俺はこの姿を強制的に見せられる人たちを心から同情したくなった。
服の購入を終えて、大きなゲップをした女は鞄からスマホを取り出して誰かとメッセージの交換を始めた。相手は週末に会う約束をしているあの男だろうか。女は今見ていた婚活サイト以外のサイトも使って結婚相手を探している。そのサイトは確かバツイチ限定の婚活サイトだった気がする。女はバツイチどころか今まで恋人がいたことさえないようなヤツだが、いろいろと詐称してこのサイトを使っている。そこで見つけたある男にすり寄ってスマホでやり取りできる連絡先を聞き出したのだった。俺はその男に言ってやりたい。
『今すぐスマホを捨てて逃げろ!』
お前と会話のやり取りをしている奴は人間ではなく、モンスターなのだと。
一通り会話のやり取りをして満足したのか、女は再び俺の前に戻ってきた。一度閉じた婚活サイトを開きなおして、それと同時にパソコン内のメールチェックも始めた。どうやらメッセージが新たに来たらしい。女は一瞬真面目な顔になって内容を読む。読み終わったら、婚活サイトでその男のプロフィールをさらに真面目な顔で画面に食らいつくかのように見ている。俺はただただ不愉快だった。お願いだから近寄らないでほしい、お前すごく臭いから。
それから毎日スマホでのやり取りと婚活サイトのチェックを繰り返しながら女はメッセージのやり取りをしていた男と会うことになったらしい。いや、もしかしたら前から会うことを前提でメッセージのやり取りをしていたのかもしれない。あの少女趣味な服は男と会う時に着るためのものなのだろうか。なんだか嫌な予感がする。
女は俺の前でどてっ腹をぼりぼりと掻いている。
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