君と僕の世界
@high915
第1話 君と僕の世界
「この世界以外に違う世界があったとしたら僕は君に出会えたんだろうね?」
「いきなりどうしたのよ」
「なんとなくだよ。君がいなかったら僕はいったいどうなっていたのかなってね?」
それは何となくわかっている。きっと前のように戻るだけだろう。
昔のようにどうしようもなくなるのだろう。
一人で何もせず何も知ろうとせずにただ誰かに迷惑をかける。
そんな生活に戻るのだろう。
彼女は僕に色々なものをくれた。
花を綺麗だと思わせてくれた。
誰かのようになりたいと思った。
一緒に君と居たいという気持ちを与えてくれた。
そして、君を好きになれた。
彼女がいなければ僕はただのろくでなしでしかない。
だから、余計に今とは違う世界を想像してしまう。
僕が彼女と関わることのない世界を考えてしまう。
その時彼女は幸せだろうか。
僕と出会ったことによって彼女は自分の幸せを捨ててしまったのだろうか。
そして僕は君のことを知らずに生きていくのだろうか。
この声を、匂いを、温かさを感じられなくなるのだろうか。
この僕は彼女以外はいらない。
きっと何年経とうと。
それでも思わずにはいられない。
彼女の世界に僕は必要なかったのではないかと。
「何を言ってるのよ。会えないわけないじゃない」
彼女は言った。
「私たちは繫がってるのよ、どんな状況だって。
どこにいようが繋がっていられる。
いつだって繋がっていられる。
あなたが私を見つけられないなら私が見つけてあげる。
私があなたを見つけらないならあなたが見つけてくれる。
それ以外何かあるの?」
彼女はほんとに不思議そうに聞いてきた。
ああ、そうだ。
君が世界に存在する限り、いやしていなくてもきっと僕は
「そうだね、僕はきっと見つけられる。君が好きだから」
「そうよ、見つけられるわよ。私もあなたが好きだから」
この世界には僕と彼女の二人しかいない。
他には誰もいない。
僕たちの間で完結している。
それでも僕はこの世界が好きだ。
例え他の世界が存在していてもその世界を愛せるだろう。
この世界がどんなに汚くても。
彼女が存在する限り僕はどんな世界も愛せる。
「ねえ」
「なに?」
「次もその次も、どこで会っても見つけてあげる。
だから次も私を選んでね」
ああ、君が好きだよ。
どこでもいつでもこの狂おしい気持ちは忘れられないだろ。
だから君を選ぼう。
どんな世界でも迷わずに。
それを誰かに話したい。
そういうことなら僕ら以外がいてもいいかもしれない。
いまならこう話すだろう。
僕らは死ぬまでずっと幸せだろう。
君と僕の世界 @high915
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