3.夜の咄❶

3-1.

「静かな夜」と言う表現はどうも気に食わない。

 意味がダブっている。

 夜というものは静かなものでは無いのか。

 憩いの桜並木の桜は月の光を通し、白く光っている。

 彼女と出会ったのは数年前のことだった。

 その時の写真は、今も彼女との家に額に入って飾ってある。

 彼女は妄想癖があった。弟を殺したこともあると言っていた。

 そうだ、僕も自分を殺したことがあった。

 中学二年頃から周りと孤立してしまって、不登校気味になったことがある。

 数日経って投稿してみると、周りの奴らは僕を影で笑い、チョークの粉を被ったこともある。

 その時に僕は感情を殺した。

 感情を殺せば、周りの感情だけの馬鹿と話さなくてよくなる。そう思ったのだ。

 でも、それは失敗した。

 彼女が止めてきた。

 彼女は妄想癖があった。彼女は僕から聞いた話を組み立て、いつか未来の話を作り上げた。

 僕が、この世界中の誰もから忘れ去られる話だった。

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