第18話 小説 『捨て子の、捨て子の物語』
「だから、主人公のみずほはファザコンで、行方不明になった父親の面影を追い求めてるから、好きになるのは歳の離れた男性ばっかりやって、何回も言ってるやん! 涼介、ほんまに理解してる?」
「でも、38歳と19歳は離れすぎやろう!」
「じゃあ、37歳と18歳にしときぃよ!」
「・・・・」
翌日は、こんな感じでした。
「ちょっと待って涼介! みずほの台詞がおかしいって! 18歳の女の子はこんなこと考えてないし、こんなこと言えへんもん!」
「それやったら、さっきは折れたけど、明宏の台詞もおかしいで!
40のおっさんは、あんなことなんか考えてないし、あんなこと言えへんって!」
そして、その翌日は、こんな感じでした。
「涼介、見て! 今日授業中にずっとネタを考えてて、ノート5ページ分も書いてしまったわ!」
「あ、そう! すごいなぁ! 今から見るわ!(そんだけスラスラとネタが出てくるんやったら、自分で書けや!)」
そして、またその翌日は、こんな感じでした。
「だから、亮祐と亜衣子の離婚の理由を、もっと明確に書かなあかんねんって! なんで涼介は愛子叔母さんとの離婚の理由を隠すの? 実際に書いたりせぇへんし、参考にするだけやねんから、ええかげんにほんまのことを教えてよ!」
「だから、何十回も同じこと言うようやけど、俺はほんまに、愛子がなんで離婚しようって言い出したんか分からんねんって!」
こうして私と瑞歩は、自分たちでも気付かぬうちに、お互いにストレスを溜め込んでいくのでした。そして、そのストレスが爆発する日が、刻一刻と近付いておりました。
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