Lazward~キミを追いかけて~

水波形

Lazward~キミを追いかけて~



「一緒に飛ぼう!」



昔々の記憶。


虐められて泣いてたオレに、手を差し伸べてくれた女の子がいた。


聞けばその子は魔法使いだという。



「……わぁ~!!」



時刻は逢魔が時。


アジュールに染まる空を二人で駆けた。



それから月日は流れ、オレは高校生になる。



「うっす」



「よお!今日もギリギリセーフじゃねえか!」



「時間通り、良いことじゃね?」



友達と朝の挨拶をして席に座る。


ふと外を見ると、雲一つない青空が広がっていた。



青空は嫌いだ。


あの頃を思い出して嫌になる。



あの時手を差し伸べてくれた女の子は、あれっきり会いに来てくれなかった。


一日だけ好きになったあの蒼も、今では忌み嫌う色に成り下がった。



学校に行き、友達と遊び、授業を受け、帰宅する。


何の変化も特別なこともない日常。


これが幸せなのだろうか。



「…………ん?」



オレの隣に見慣れない席が置いてある。



「おい、これは?」



「ん?何だお前、聞いてないの?今日、転校生が来るって話」



「ああ、なるほど。うちのクラスなんだ」



そんな話をしているうちに、先生が入ってくる。


そして、転校生も入ってくる。



彼女の顔を見て、オレは声が出なかった。


彼女はオレの顔見て、あの無邪気な笑顔で手を降った。



「久しぶりだね!」

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Lazward~キミを追いかけて~ 水波形 @suihakei

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