第4話結成!仲良し3人グループ!

二回目の席替えがあった。


 今回も好き勝手に決めていいということで、わたしはやはりイチカの隣の席になった。ただ、前回と変わったのは、反対側の隣にナミがいることだった。

イチカ、わたし、通路を空けて、ナミという並びになったのである。


 ナミは学校を休みがちなせいか勉強はかなり遅れていた。授業中はずーっとチラチラわたしのノートをのぞきこんでいた。小テストの時もその行為をやめないナミに若干のイラつきはあったが、「まぁ減るものでもないし」とスルーしていた。


減る物といえば、消しゴムとシャーペンの芯だ。


「ちょっと貸してー」


一日に何回聞く言葉だろうか・・・・・・。ナミのこの悪癖は一年生の頃から変わらないらしく、一年で同じクラスだった人にはだいぶ嫌われているようだった。イチカもこれにはあきれた様子で、わたしに「しつこかったら言った方がいいよ」と耳打ちした。


とはいえ、このナミという子はしたたかで、


「イチカちゃんの好きキャラかわいぃー! イチカちゃんの溺愛っぷりに萌えるーぅ」


などと、イチカのツボにバッチリ的確なおべっかを打ち込んだりもする。わたしに言ったイチカの悪口など忘れたのか、「イチカちゃんと仲良くなりたーい」などと言う。


なにより嫌だったのは、登校の際にナミが迎えに来るようになったことである。わたしは一年生の頃からずっと、幼馴染であるハルカと二人で登校していた。たまに途中で他の子が合流することもあったが、二年になってクラスが別になったハルカとはこの登校時間が貴重な共有時間だったのだ。ハルカも「まぁしょうがないよ」と事情を察してくれてはいた。

 

 正直に言えば、ナミが学校を休む日の登校時間は安息の時間となっていた。

わたしは嫌な人間だろうか。



ともあれこんなふうにイチカ、ナミと仲良し三人グループの結成である。

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