第31話 This Feeling この想い

31.


== 松本聖 + 渡邉凛太郎 ==



 相談って・・相談女っていうのがいて、やたらと相手

が既婚者でも自分の相談を持ち掛けてその内懇意になっ

て不倫する女性が会社なんかにいるらしいけど、今の凛

太郎さんがまさしくそれっ、マンマだよね。南さんだっ

て凛太郎さんの相談に親身になってるように見受けられた

し。きっとふたりが恋人関係になるのもそう遠くない予

感がする。


 だけど今の私には、会うのを止めて下さい付き合うの

を止めて下さいと言うのが精一杯で、それ以上言うべき

言葉を見つけられなかった。


 悔しいけれど、他にどんな言葉でふたりの関係が親密

になってゆくのを止めればいいのか判らなかった。その

場でそれ以上訴えるべき上手い言葉も見つけられず、聖

は夫から見えない場所に行きそっと涙を拭うしかなかっ

た。


・・・



 ひとまず俺の目論見は功を奏したようなので良かった。

南との契約も予定を変更して早々に切り上げようと思っ

てたから。先日の僕らのデートの情報がまだ聖の耳に入

っていなければ、次の手を考えないといけないところだ

った。


 しかし妻がすでに南の名前まで入手していたとは、少

し驚いた。噂を聞いてヤキモキ位はするかなぁ~と思っ

てたけどね。俺の予想以上に妻はそうとうキテいるのか

もしれない。


 最近聖が夜這いをかけてきた。彼女は今までそっちの

方で積極的に行動するような女性じゃなかったので、俺は驚

きを隠せなかった。正直、一瞬どうしようかと思った。

だが今は自重の時と、敵(妻)の策に弄されてはならぬと

必死の思いで撥ね付けた。


 俺的には正直きつかったが聖に対するお仕置きが終わ

るまでは忍の一文字だ。もしあの時、もっと執拗に迫ら

れていたなら陥落してしまっていたかも。(冷汗:)


 聖の夜這いや、南と会わないでほしい発言を鑑みると

大分堪えているように見える。俺のあの時の気持ちが少し

は判ったろうよ。憎しみを込めて程の心持でそう思った

わけではないが、そんな気持ちになり愉悦がこみ上げてく

るのを止められなかった。嫌な奴だな、俺って!


 そんな風に自己嫌悪に陥りつつも、ちょっとした意趣

返しをし溜飲を下げることが出来て、気分は上昇気分に!








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