第30話 This Feeling この想い

30.


== 松本聖 + 渡邉凛太郎 ==



  自分がこうなるまで、不倫や浮気の相談webサイ

トがあること自体知らず、読んだことが無かったのだが

今は時々読むようになっていた。


 そこでは男女問わず、サレタ側はシタ相手に対して気

持ち悪い、触られるのも嫌だ、虫唾が走る、吐いたとか

吐き気がする等、散々な意見が述べられている。凛太郎

も私のことはそういう対象でしかなく、きっと夜這いなん

かして浅ましい女と思ったに違いない。本当に恥ずかし

い。


 どこからか飛び降りて消えてしまえるなら、消えてし

まいたいと思った。けれど、どうせ消える程の覚悟があ

るのなら聞きたいことは聞いておきたいという衝動にから

れ、気がついた時には凛太郎に問い詰めていた。


 まだヨチヨチ歩きの祐太の側で様子を見ている凛太郎

に言った。


「凛太郎さん、約束を破ることになるけど・・・だけど私

あなたが他の女の人とふたりで会ったりするのは耐えら

れない。南さんっていう人と付き合うの止めて下さい。

お願いします・・おね・がい」


「えっ!土曜日に一緒に食事してたことを言ってるのかな?

それっ、三沢さんから聞いた?」


「そう、三沢さんから」


「ふ~ん、でも何で名字まで知ってるの?」


「それは・・」


「調べたんだ?」


「・・・」


「まだ食事しただけだからねぇ~。付き合うのを止めろ

って言われてもまださぁ、付き合うところまでいってな

いよっ、俺と南さん。それにあんな綺麗な人が俺なんか

相手にしないって!」


 凛太郎からあっけなく、切って返されてしまった。こ

んな風に言われてしまうと、もう私にはそれ以上言いよう

がなかった。


 だけど、あなたの相談に乗ってくれてるンでしょ?

充分相手にされてるよ!






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