第21話 This Feeling この想い

21.


== 渡邉凛太郎 + 松本聖 ==


 

  初めてのLunchデートで早速町内の人とも店内で遭遇し

たことだし、半年から1年とかの期間での偽装を考えて

いたが、なるべく早くに南との契約を終わらせようと思

う。


 勿論この日は食事をした後、早々に店を出て最寄の駅

まで彼女を送って別れた。家に帰る道々、予定とは違う

早々での契約の打ち切りをどうやって南に説明しようか

と思案していた。


 今回のデートのことを聖が知らずに済むのか、それとも

上手い具合に知ることになるのか判らないが、次からはデ

ートに行く振りは続けるが、あくまで振りだけにしよう

と思っている。


 聖がいつもの○○○リューへ買い物に行った時のこと。

1本道路を隔てたところに住んでいる人で、時々年に数回

ある掃除当番等で会う程度のご近所さんに遭遇した。


「あら、渡邉さん、こんにちは!」


「あっ、三沢さんこんにちは、お久し振りですね」


 次の掃除当番は○月○日だったわよね~?などと、当番

をお互い忘れない為の確認をしたり、少し雑談をした。

 じゃあと話を打ち切って行こうとしたら、三沢さんが

遠慮がちにだが、少しの好奇心を滲ませながら凛太郎さ

んがきれいな女性と一緒にいるところを見たと告げてき

た。


「そんじょそこらの女優に負けない位のすっごくきれい

な女性(ひと)だった。休日だったから、聖さんも知って

る人なのかなと思って」


 上目遣いで、相手の女性がいかに美しい人かというの

を強調する。「休日だったから・・」というのは、たぶ

ん休日に夫が出掛けているのだから、夫はちゃんと誰そ

れと会うからと、私に話して出掛けてるよね?というような

意味合いで言っているのだろう。



「あーっ、うんもちろん。出掛ける時に、話は聞いてま

した」


 私はそう言うのが精一杯だった。嘘はついてない。相

手がその美女だったことまでは正確に報告受けてないけれ

ど、「食事はいらない、外で食べて来るから」と夫は

報告して出て行ったのだから。


 しかし、その女性は一体誰なのだろう?凛太郎は誰と会

うかまでは言ってくれなかった。






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