第8話 This Feeling この想い

8.


== 渡邉凛太郎 ==



 そんな風にあれこれ言いつつ、俺に対していろいろと

細かく研究していたようで、渡邉も渡邉で以外に女に興味

が無く、いい女から口説かれても何気にひょいひょいと

スルーしているような男だから案外、お似合いのペアー

じゃねぇ?ってことで俺と聖の関係、つまり新人とただの

教育係りってことで周りは手打ちしていたようだった。

 手打ちっていうのも変な言い方だけれども。


 そんな俺たちが一年後に結婚を発表した。女に興味を

示して来なかったせいでもしかして・・男が好きなのか

?とまで勘ぐられていた俺と、入社した早々、恋人いま

す、宣言した聖がどこでどうなったンかい?と、突っ

込まずにはいられなかったことだろう。結婚を公表した時

の周囲の反応は皆一様にこんな感じの反応だった。特に

お互い遠慮の無い同期達からは特別悔しがられた。


 聖ちゃん、いつからフリーだったんだ。お前、抜け駆

けはいかんだろう、こういうことはフェアーにやらんと

、と。


 また先輩の独身男子社員からは、しばらく冷たい対応を

されたっけ。


 聖の方は聖の方でいろいろあったらしいと聞いた。


 結婚を発表するや否や、同期の子やら先輩達からヤ

ンヤヤンヤ。酷い人は、卑怯者いつの間にとか、どんな

手管使って渡邉凛太郎をおとしたのか・・とか責められて

凹んだ。大抵の人は祝福されるはずの結婚します宣言に

私は疲れ切ってしまった、と話していたなぁ~。


 俺はちっとも知らずにいたのだが、俺の所謂親衛隊な

るものがあって、俺と話が出来た日は例えそれが挨拶だ

けでも親衛隊のメンバー達で「いいなぁ~」とか「明

日は絶対私が渡邉さんと話せるように頑張るよ」とか言

いつつ、ずっと俺のファンでいてくれてたそうだ。





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