群馬の意外な所

皇 将

保守的な気質の群馬、その意外な所。

 意外に思われるかも知れませんが、群馬県という所はサブカルチャーに寛容な所があります。群馬県庁は良いコスプレ撮影スポットになっていますし、ぐんまフラワーパークでは月1回のペースでコスプレイベントが開催されていますし。


 そんな中で、群馬県前橋市の中心商店街で以前に開催されたのが、『オタク特区』というイベント。色とりどりの衣装を纏ったレイヤーさん達が集い、可愛らしいキャラがラッピングされた『痛車(いたしゃ)』が展示され、こぢんまりとしながらも熱い盛り上がりを見せました。


 そこで私もレイヤーとして参加したのですが、その時の衣装というのが、

「黒に灰色のピンストライプの背広・灰色のベスト・靴は黒の革靴でストレートチップ・白でウィングカラーのワイシャツに黒のネクタイはトリニティノット・髪はオールバックにして白く染め・片眼鏡(モノクル)に口髭」

という、いかにもゴテゴテしい英国紳士のコスプレをした訳です。まずまず好評でしたよ。






 意外に思われるかも知れませんが、群馬県という所は紅茶の美味しいお店が多く、激戦区とまでは行きませんが、それぞれのお店が趣向を凝らした紅茶を提供しています。中には、ある紅茶メーカーが認定する『ティーマスター ゴールド』を取得している方が店長を勤めるお店も。


 コスプレをした私は、その足で、前橋市中心商店街のはずれにある紅茶専門の喫茶店に向かいました。ちなみに今回のイベントは野外での開催で、中心商店街までは自由に行き来できる時でした。普段はコスプレして街中をうろつくような事はしませんよ。


 そこは、席数が10席ほどで店長とお手伝いの方が一人の二人体制で営業している、小さく雑然としつつも統一感のあるお店です。奥の注文カウンターを覗くと、いつものマスターさんが忙しくしておりました。


「あ、どうも」

と挨拶を交わし、その時はダージリンを注文。マスターはいつも通り、茶葉をティーポットに入れて湯を注ぎ、ゆっくり蒸らして耐熱ガラスのマグカップへ。並々と注いだ後で、少し紅茶をこぼします。そのこぼすのがちょっと勿体ないな、と、いつも思ってしまっています。そんな貧乏性。


 そして紅茶の入ったガラスマグを壁際のカウンター席に持って行き、ゆっくりと一服。ダージリンの春摘みらしい、軽くて少し青っぽい風味が、口中と鼻腔に溢れます。ゴテゴテしい英国紳士風な男が紅茶を嗜む姿は、他のお客からはさぞ奇異の目で見られた事でしょう。






 今はそのお店は移転していますが、移転先でも頑張って営業しているそうな。また機会を作って、美味しい紅茶を頂きに押し掛けましょうかね。ああ、喉が渇いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

群馬の意外な所 皇 将 @koutya-snowview

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ