友達

「いってきまーす。」


朝8時。 学校へ登校する時間。

重たい瞼を開けながらとぼとぼと歩いていた。


「なーーーおっ!! おはよう!!」

「うわっ!?」

「うわって何だよw そんな驚くことねぇだろ!!」

「朝から元気だな…。 うるさい。」

「なおたん素っ気ないー!」


この朝からうるさいのは僕の友人、隅田博(すみた ひろ)。

僕の学年一のお調子者で、誰からでも愛されるキャラだ。 家が近いという理由で仲良くなった友人だ。


「なおたんって何だよ。 きもちわる。」


この通り、僕とは正反対な性格だが僕といると楽しいと言ってくれるやつだ。


「あ! そうそう。 今日どんな夢見た?」

「あ? 今日? んー…どんな夢だったかなぁ…。 忘れたわ」

「えー(´・ω・`)」


言い忘れてたが、こいつには僕の能力の事を話している。 信用できる奴だからな。

あと、興味た夢ははっきりと覚えている。

何故言わないのか。


それは、自殺未遂を図っている夢だったから。


僕ではなく、知らない誰か。

制服を着ていて、恐らく僕と同じ学校だ。

何年かはわからない。 ただ、見覚えがあった。


「なぁ、博。 ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

「お? なになに? 恋の相談かな?」

「ちげぇよ。 ちょっと人をな。」

「人? 探してるの?」

「あぁ。」


博なら知っているかもしれない。 いや、確実に知っている。 こういう時、こいつが友達でよかったって思う。 博には悪いが。


「黒髪のロングの子で、身長もそこそこあるんだけど、心当たりないか?」

「黒髪ロングの身長そこそこ…。 あ、あの子じゃねぇか?」


そう言い、博は目の前に歩いている子を指差した。

確かに、昨日の夢の子に似ている。


「あの子か…。 名前わかるか?」

「なに? あの子の事好きなの?」

「違う。 ニヤニヤするな。 とにかく教えてくれ。」

「あー、はいはいw」




あの子の名前は早川怜奈(はやかわ れいな)。

学年は僕たちと同じ2年生で、同じクラスだった。


美人で、博識で誰もが頼るそんな人だった。

友達は多く、とても自殺未遂をするようには見えない。 でも、何かあるんだと確信した。


何があるのか知りたいけど、どうやって聞き出せばいいのか。 それは、簡単に答えが見つかった。


あの力を僕が意識的に使えばいいんだ。

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昨日の君に会いに行く @neromu

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