第3話「妖精?の助言」
「貴方はそれで本当にいいと思ってるの?」
ロッカーの前で疲れ切ったサラリーマンみたいに落ち込んだ様子で座り込んでいる元勇者の目の前にまたファンタジーの世界からやってきたのか妖精の恰好をした普通の成人女性と変わらない大きさの女性は見下した目をして言った。
よく見るとその妖精の羽はダンボールで出来ている。
「妖精・・・俺の事はもう放っておいてくれ・・・。」
力なく元勇者はピクリとも体を動かさずに言う。
すると妖精は舌打ちをした。
「勇者、あなたは魔道士が今あってるこの状況を見てもまだそんな事が言えるの?」
すると妖精は両手を高く上げた。
教室の中に居た生徒たちは本当の魔法が拝めるのかという期待感と少しの恐怖を胸に抱きながらその妖精の行動を見守った。
高く上げた両手を妖精は可愛らしい少女の姿とは裏腹に野太いおじさんみたいな声を出して勇者を軽々と持ち上げた。
その瞬間、教室の中に居た生徒一同は夢と希望を一瞬で打ち壊された様な気分になった。
この世に魔法は存在しない・・・あるのは自分の実力のみなのだと妖精が証明したかのように思えた。
「テレポーテーション!!」
妖精は可愛らしくそう大きな声で叫びながら教室の扉を勢いよく開けて、そのまま廊下を目にもとまらぬ速さで走って行った。
走り去っていく妖精の背中を出て行った扉から頭をひょっこりと出してみると背中にジッパーがついているのが見えた。
そして、あの中身は確実に筋肉ありありのおじさんだとみんなは確信した。
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