美術品の生。

博物館や美術館といった施設に収められる美術品は、人間の寵愛を失った美しい屍のようだ。

殊に純粋芸術ではなく、手にとり愛される類の作品達は哀れな物だと思う。


形として、物としての寿命は確かに引き伸ばされるだろう。

けれど、生き生きとした輝きと引き換えに得られる幾許かの延命に一体どれほどの価値があるのか。


命は、永遠ではない。


緩やかに死んでいく、まるで眠りの内に果てていきそうな美術品を見ると心が痛む。



作品に付された解説は、まるで物たちの墓石に刻まれた「お悔やみの言葉」のようだ。

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