第3話ロシア系の女性に慰められる
「実はマッドサイエンティストのDJとクラブの裏口近くで会うことができたんだ。彼はホテルへ帰ろうとしていたか、それとも打ち上げか。どっちにしろ……もう白衣は着てなくてキリッとしたジャケット姿だった」
「さっきのパフォーマンス最高でした、と言ったあと僕はロシアンブルーにフラれた件をしゃべってしまった。そしたらマッドサイエンティストはこう言ったんだ。まぁ、近くにいたスタッフが早口の英語を通訳してくれたんだけどさ」
俺と翔太はマンションの屋上で、自殺防止の
「苦しみに
翔太はため息をついた。
「それがロシアンブルーが結婚だって、しかもセレブと。何てこった」
やりきれない気持ちが翔太から伝わってくる。
「最悪のハロウィンだ」
翔太はそう言ってグラスに入った白ワインを
俺は
「あっ、アリョーナちゃんが実況してる」
翔太はスマホで海外のライヴストリーミングサイトを見ているようだった。
「いつもの時間じゃないな。あっちは今何時なんだろう」
そう、翔太は妙に鼻が
翔太が見つけたそのサイトは
翔太によるとアリョーナとはロシア系の女性で定期的にその実況サイトからライヴ発信をしていた。とはいえアリョーナがロシア在住とは限らない。アリョーナはなかなか自分が住んでいる場所を言いたがらないらしい。それでもアリョーナは持ち前のブロンドヘアー、美形のルックスと笑顔で翔太を
「いや〜、アリョーナの笑顔、心がなごむ。身も心もズタズタの俺にはいい薬だ。それにしても時どき吸う
いや、よくわからんがそれは違法ドラッグかもしれない。俺は心の中でつぶやいた。俺もこのサイトで
翔太はコンクリートの地べたに腰を下ろし、まだスマホに熱中していた。
「おおっ、アリョーナ、愛してるぜ」
「翔太、おまえアリョーナが何言ってるかわかるの?」
「それが英語でさえおぼつかないのに、ロシア語のなまりが入ると、もうさっぱり」
そのサイトの第一発見者はおまえなのに。俺は翔太にバレないように笑った。
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