人智の果てなる追求の奢り

@bokoemon

第1話

なんとも困った話だ……私の名前は「レオナルド・ショーン」


着古したロングコートに身を纏いくたびれたハットを目深く被った男性がデスクに向かい呼吸をするかの如く呟いている


「全く理解が追いつかん、こんな事が起こり得るのか」


ブツブツと呟いてる男こそレオナルドなる男だ


「まだ悩んでらっしゃるんですか?」


頭を悩ませているレオナルドに1人の青年が

声をかける、彼は「クリス・マクボルド」


「あぁ、クリスか…いやぁどうもこれが気になってねあまりに現実的ではない…が、妙に現実味を感じさせるのだよ…」


と言ってレオナルドは一つの手記をクリスに

突き出す、その手記は表紙はボロボロであり

所々カビが発生している


「ちょっと〜汚いのでこっちに近づけないでくださいよぉ〜、僕も一応読みましたけどどう考えたってあり得るはずがないでしょう〜!」


レオナルドとクリスのこの蒟蒻問答の原因は

この手記の内容であった

2人が言う通り手記の内容はまず現実的な内容ではなかったのだ。


手記には…

「私は遂にたどり着いただろう、この場所を追い求めて人生の半分以上を費やした、やっとだ

やっとの思いで私は夢を果たしたのだ、ここが

何処なのかは記す術は今は無いだろう…

しかし確信出来ることはある、私はここに来れたのだ。


しかしそれと同時に私はもう一つ確信した

私はここに来てはいけなかったと…

ここは奴らの都だ…それは分かっていた…

だが、まさか奴らがアレ程に私の恐怖の根源を

掻き狂わすとは……思い出すだけでも気が触れてしまいそうだ…

だが私はここにそれを記さねばならぬ

これを後世に語り継ぐ事が今の私に出来る最後の使命なのだろう


まずはこの場所に来る方法なのだが

海だ、ここが海の何処なのかは分からない

だがここは海なのだ、しかしここからが

重要だ私は今上を見上げたとしよう

そこには何が見えると思うかね

普通は空だろう、それが夜か昼かどちらかの

正常なごく普通な何の咎めのない空だろう


だが、ここは違うのだよ

空が海だ…海が空なのだ

現に私の眼前にはとてつもなく大きな魚が泳いでいるのだ


実に不思議だ理解しがたいのだ

しかし私が今いるこの空間だけは水が入って来ない…これはどういう原理かは想像すらし難い

この「遺跡」らしき建造物には水が入ってこない

恐らく…いや九分九厘ここは水中だろう

それもとても深く暗く深淵とも言えるような

深海なのだ…光すらも届いてはいない

今手元にあるライトだけが私の頼りなのだ


話がそれたがこの場所にくる方法は

夢だ…夢を見るんだ

何者が…いや何者とも呼ばない何かが

私を呼ぶ夢を見たんだ…

その夢にこの場所を見たのだ

私はそれが気になり半生をかけてこの場所を

追い求めた


しかし答えは簡単だった

「答えるだけ」だったのだ


私は世界中飛び回りこの場所の情報を探った何一つ得られなかった…ここは誰も知らぬ場所

諦めかけた時、夢の中の呼ぶ声とも言えない

その怪音に私は応えたのだ、そこまでは夢とて覚えている


そして私は目を覚ます…

そうすると私はこの場所の祭壇のような場所で目が覚めたのだ…始めは理解が追いつかなかったが

次第に整理していく事は何とか叶った

手持ちの荷物も何故かあった

荷物と言っても常に持ち歩くこの手記とペン

それと緊急用の小型ライトだ


だから私はこの場所が何処なのかも分からない

ただ私がここに来た経緯は表明できる


そんな状態なのだ…


あぁ…もう少し書き記したいが…

奴らの蠢く音が聞こえる近い…

怖い…私は怖いのだ…

来る…来る…


奴らに捕まる前にこの手記を深海の中に流す事にする

もしこの手記を見るものが居たならば

これを後世に語り継いで欲しいこの私の

一生渡してでも体験したこの超常的な出来事を


1950/12/25「リッケルト・ファン・ボルボド」



手記の内容はここまでだ


「確かに普通に考えればあり得ないだろう

しかし私には何か、それが何なのかが理解出来ないが何かが私を惹きつけるのだ」


そうレオナルドが言うと


「レオナルドさんは常にオカルト系が気になって仕方ない性格なだけでしょう!」


と、クリスに一喝され少しバツが悪そうな顔をし、レオナルドは帽子を深く被り直すのであった。

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