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 飛行船の窓から、ケン太は地上を見下ろしていた。

 コロシアムの地面に、美和子と太郎が倒れている。担架が運ばれ、ふたりはコロシアムの施設内部へと運ばれていった。

「これからいかがいたしますか?」

 背後に控えている木戸が話しかけた。

 ケン太は爪を噛んでいた。いらいらしているときの癖である。

「あのふたりには”処置”を施しておく」

 ケン太の説明に木戸は眉をあげた。

「それは……賢明でしょうか?」

「ほかにどうしようがある? それにあの書類のことがある。どこから漏れたか判らないが、まずいことになった。すぐ本社にもどって、関連の資料を処分しないと……」

 木戸はうなずいた。それには賛成だった。

「杏奈お嬢さまはいかがいたしますか?」

「あいつはどうしている? 余計なことは耳にしないよう、気をつけたか?」

「はい、特別室にご案内させていただきました」

 それでいい、とケン太はうなずいた。

 窓に目をやる。

 すでに窓の外は大海原になっていた。

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