「美和子姐さん、どうしてスケバンっぽい格好にしないの? そりゃお嬢さまだってことは知っているけど、いつまでそんな服装だと相手に舐められるよ!」

 食堂で、デザートをつつきながらふいに茜は話しかけた。

 美和子は首をかしげた。

「スケバンっぽい……どういう意味?」

 茜は首をふった。

「あきれた……本当に知らないのねえ。こりゃ、無理ないわ……。美和子さんのセーラー服、ノーマルでちゃんと似合っているけど、もうちょっとまともな格好にしないと。ね、立ってみて!」

 茜に言われ、おずおずと美和子は立ち上がった。すると茜はいきなり美和子のスカートを短くたくしあげる。形の良い膝があらわになって、美和子は真っ赤になった。

「ちょ、ちょっと茜さんっ?」

 いいから、いいからと茜は言いながらこんどは美和子の胸元をぐいと広げた。胸の谷間がのぞく。

「このくらいしないと、相手から舐められるよ! 姐さん、舐められるの平気?」

「そりゃ、まあ……でも、どうしてわたくしを舐めたがるのかしら。わたしの顔を舐めておいしいのかしら?」

 ぷっ、と茜はふきだした。

「そう言う意味じゃないって。つまり……ええと、軽く見られるってこと! 勝負は最初の印象が大事なんだ。そのためにガンを飛ばすことも必要だしね」

「ガンを飛ばす? 拳銃をどうするの?」

 茜はいらいらして足を踏み鳴らした。

「違うって! がんだって! いい? こうすんの!」

 彼女はぐっと顎をひき、上目がちになって視線にちからをこめた。

「ね、こうして相手を睨めば、勝負の前にこっちは強いんだってことが判るでしょ? さあ、やってみて!」

 美和子は必死に真似をした。それを見て茜は頭をかかえた。

「違う、違う! それじゃより目になっちゃう……。それに顎を引きすぎだよ。こう、目に力を込めるんだ!」

 美和子はため息をついた。

「難しいのね……」

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