第2話

──ここはどこだろう。たしか私は優子に海に落とされて……。

ふいに、あの時の優子の言葉を思い出した。冬美は今まで、どんな気持ちで私と一緒にいてくれたのだろう。苦しかった?辛かった?

「……初めての友達だったのになぁ。。」

私は、小さなころから人と話すことが苦手で、いつも1人で行動していた。いわゆるボッチというやつだ。だからといってさみしかった訳では無いし、無理して友達を作る必要もないと思っていた。仮に作ったとしても、家が転勤族だったため、すぐに離れてしまうんだ。そして、私のことなんて忘れてゆく。そう思って生きてきた。そんな冷めた性格ゆえに、いじめられる事もあったし、中学1年の時には「氷の女王」なんて呼ばれたこともあった。気にもとめていながったが。私が中学3年に上がるころ、親の転勤ラッシュが終わりを迎え、新しい中学に転入した。そこで、冬美に出会ったのだ。冬美はとても活発な女の子で、いつもクラスの中心にいて、まるで太陽みたいな存在だった。日陰に隠れて生きてきた私とは真逆だ。もちろんこの学校でも友達を作る気はなかったし、卒業したら私立の高校を受験するつもりだった。だけど、そんな私の考えたプランは、思い通りにはいかなかった。私の人生を変えた、中学3年生の6月。6月10日。

私が、「私」を捨てた日。


3話に続く

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