雑草のような小説を書け

 これまでどれだけの小説が生まれ、その度に消されてきただろう。

『こりゃダメだな』と消し、それを土台として新しい文章を書き綴る。


 さて

 正直に答えてほしい

 今まで自分が書いてきた小説は果たして

 価値のあるものだと言えるだろうか?


 答えはほとんど否、だろう。

 いや結構。相互小説の影に隠れた小説だとしても、『立派』ではある。

 だが、価値と言われれば否定に変わるのではないだろうか。

 その通りだ。

 コンテストや賞にも載らない小説は価値など無い。

 あるのは、書いていたという事実に対する価値だろう。


『何だこの野郎黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって』────言われそうで恐い。

 だが、事実その通りではないか。

 ネット小説の実情を知らない人間にとって、相互であっても評価のついた作品はそれなりに見栄えはするし、草木で例えれば広く根の張った大樹のように思えるのだろう。

 それに対し我々のような小説はそこら辺に生えている雑草程度にしか認識されていないはずだ。

 だが、いざ蓋を開けてみれば逆である。

 何度も何度も修正を重ね、ようやく小説として形が構築されている雑草は、その『語彙』と『描写』を駆使して、広く広く根を張る。

 対して相互評価を付けられた小説は、いざ根元をシャベルか何かで掘ってみれば、さほど根は広がっていない。


 要は見栄えの問題ではないのだ。

 人から注目されず、しかも忌み嫌われるような見た目でも良い。

 問題は中身があるか無いかということであるから、大して気に病む必要も無いだろう。

 だからといってその広げた根をそのままにしておくのも勿体ないというものだ。

 少し宣伝をしてみるのはどうだろうか。

 もちろん、自分の力で。

 少しずつ評価され、雑草が林、林が森と、大きく名を馳せることだろう。

 時々、向かい風に煽られて折れてしまうこともあるだろう。

 折れた先から、また育てていけばいい。

 その文章は、間違いなく誰かを感動させたものなのだから。

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