第3話『開幕』

 僕とユーリーは、玄関口にいる。なんでも、トーナメント戦の、相手・日時・場所はランダムでチームが決まり、朝7時に玄関口で開示される。

 この戦いで、いい結果を少しでも残したいなら初戦は大切だ。負ければ、ほぼ異能力の成績は壊滅状態になり、もし勝てば次の戦いの支えになるし、成績も1戦勝てば、まずまずだろう。

 なんて言ったって、僕もユーリーもLv.0なのだ。出来るだけ弱い相手と戦いたい。

「時間になりました。それでは開示します。」

 監督の水沢先生の一言で、それを合図に貼り出された。

『霧島、ユーリーLv.0チームVSエーディール兄弟Lv.5チーム、明日10時体育館ホール』

 頼む。⋯⋯その期待は一瞬で裏切られた。

『エディール兄弟Lv.5チーム?』

 ユーリーが困惑した顔で聞いてきた。

「エーディール兄弟は、兄のエトワールが炎の使い手。弟のティムが水の使い手だよ。どっちもこの学校では中々知られるぐらいには強いんだ。」

『⋯勝てそう?』

 一層深刻そうな顔で、ユーリーは僕を見る。

「やるだけやるしかないさ。」

 とにかく、明日までに何か作戦を考えなければ⋯⋯

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Lv.ゼロの僕と無口な彼女 祭 仁 @project0805

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