第2話『Lv.0チーム結成』

 彼女、リリィ・ファン・ユーリーが正式にクラスに知られる事となったのは次の日のHRだった。

 どうやら昨日会ったのは下見だったらしい。

『今日からこの学校に通うことになった。リリィ・ファン・ユーリーです』

 どこかで見たことある紙に自己紹介が書いてある。

『よろしく』

 と言うよりも明らかに昨日の使い回しである。

「リリィさんは、外国にある聖レンティア協会から転校してきました。リリィさん、朧君の横に座ってね。」

 と補足を付け足すのは、アラサーで婚活中の水平みずひら 氷華ひょうか先生だ。⋯⋯担当科目は、国語。異能力、水を自由自在に操ることが出来る。

 今にもボタンが弾けそうなふくよかな胸もあり、黒縁メガネ、黒髪という容姿は決してモテないルックスではないのだが、酔うと手がつけられないので、いつもチャンスを逃すらしい。(先生談)

 ────促され、リリィは、僕の横に座る。

 周りは、一言も話さないリリィに僕が昨日とったリアクションを同じようにしている。⋯⋯人が本当に驚くとこういう顔をするのか。と昨日の自分に恥ずかしくなる。

 リリィは、僕の方を向いた。

『よろしく』

 また、それか。少しだけニヤける。

 いきなりバンッ!と大きな音がする。

「皆さん!!やって来ました、魔魅高校伝統の"異能力チーム決闘トーナメント戦"が!」

 先生は声を張り上げていった。

「皆さん、知ってる人も多いと思いますが、一応ルール説明させてください。このトーナメント戦では、2人1組でチームを作ってもらい、主に異能力を使って争ってもらいます。

 審判が戦闘不能と見たらそこで試合終了です。簡単でしょ?

 それと、これは必須授業と思ってください。

 ちゃんと異能力の成績に比例しますので頑張ってください。明日までにチーム名簿を各自提出してください。以上!!」

 大変なことになった。僕は頭を抱えた。────案の定、僕には組む人間はいない。異能力これに関しては、Lv.0と組んでくれる人なんて。

 僕はふっと横を見た。

「リリィ、僕に異能力はないが⋯⋯僕と組んでくれないか?」

 リリィは微笑しながら、キュキュッとペンで紙に書いた。

『Lv.0の私で良ければ』

 リリィもLv.0なのかよ⋯⋯まあ、文句は言えない僕もLv.0なワケだし。

 リリィは、また書き出した。

『ユーリーでいい。』

 ────こうして、Lv.0チームはあっさり結成された。

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