Lv.ゼロの僕と無口な彼女

祭 仁

第1話『無口な転校生』

 ここ、魔魅高校は国が創立し、人知を越えた力。⋯⋯特殊能力を所持しているモノのみが通う特殊な学校だ。

 国のお題目は、「特殊能力を生かした学びを学ぶための学校」だそうだが、実際は「特殊能力者バケモノを1点に集めるための施設」だ。

 しかし、僕、霧島きりしま おぼろには特殊能力は全くない。この高校でランク分けされる中でもLv.0なのだ。⋯⋯一般人だ。

 僕が何故、この高校にいるか。と言えば、

 家系にある。

 代々、霧島家には異能力者が多く、能力は遺伝されるとされている世の中では、僕を危険人物扱いしてこの学校に入れたのだ。正確には、入れられたのだ。

 まあ、仕方ない。

 授業の大半は能力値を引き上げる訓練なので大体見学なのが、今も、と言うよりいつも、教室からぼんやりと外を眺めるだけでいいのでとても楽だ。

 そんな事を思っていると、教室の扉が⋯⋯カラカラと音を立てて開く音がした。

 僕が振り返ると────長い白銀の髪。エメラルド色の目。華奢な身体。をした少女がいた。

「誰?」

 僕が問いかけると、彼女は1本のペンと自由帳を取り出して、何かせっせと書いている。

 書き終わった紙を僕に見せる。

『今日からこの学校に通うことになった。リリィ・ファン・ユーリーです』

「なっ!」

 変わった自己紹介に圧倒され、すぐに言葉に出来ない。

 驚いていると彼女は、またペンを走らせる。

『よろしく』

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