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「……ここ、だよね」

地図を片手に、目的地を見やる。

下町のはずれの、洞窟。専ら魔物が出てくると有名な場所だ。依頼によると、最近は手が付けられないほどに魔物が発生している、とのことだ。

「随分、暗いな」

昼下がりだというのに、洞窟は暗くて奥まで全く見通せなかった。色濃い闇で覆われている。どこか不気味な空気だと思わせてしまうくらいには。

リオは目を閉じた。


この世界では、『パウェル』と呼ばれる不思議なエネルギーがある。そのパウェルを使いこなす人のことを、『パウェラー』と呼んだりもするらしい。

その正体は未だ不明だ。分かっているのは、世界のあちこちからそのエネルギーが吹き出す箇所があるらしい、ということくらい。

リオも微力ながら、パウェルの波動を感じ取ることができた。


「この洞窟……パウェルが強い」

魔物というのは、パウェルのエネルギーを吸収したことにより変異した種のことを指す。つまり、パウェルのエネルギーが大きければ大きいところ程、魔物は多く発生し、さらには強大化する。

――前までは、こんなに強くなかった。

リオは眉を寄せた。

この洞窟には度々訪れたことがあったが、ここまでのエネルギーを感じたことはない。以前よりずっと強い力の波動を、ここからは感じる。

「……妙だ」

 パウェルは人間にとって未知のエネルギーだ。分からないことも多い。

 だが、こんなにも急激に膨張するものではないというのは、リオだって分かる。この洞窟は、何かが、おかしい。

――この洞窟で、何かが、起きている?

「……とにかく、行くしかないか」

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