第十八夜【ティーパーティ】
こんな夢を見た。
別段仲が良いともいえない同窓生からティーパーティに誘われた。
同窓生の実家で開かれたそれには、長机に多くの参加者が並んでいた。
セットされているテーブルクロスや食器類にはすべて同じマークが印字されている。それに気付き、その意味を隣の席の人に訊ねると、どうやらそれは、使っても良し、ということを示しているらしい。
それならば、悪し、の方もあるのかと相談していると、向かいの席の人から、
「そういったものは買わないようにしているのだ」
と教えてもらうことが出来た。
向かい席の人はこの家に居候してきてから長いのだろうな、と思う。しかしよく見ると、その人の使っているカップには、使っても良しのマークがどこにも入っていないのだった。
同窓生の知り合いばかり集められているのだ、このティーパーティとやらはあまり居心地の良い場ではないだろうと思っていたが、初めからそういった雰囲気を出していたのだろう自分に気を使ってか、周りからはよく話しかけてもらえた。
しかしその話しかけられる内容がいちいち同じものだったため、今は若干辟易している。
また、その場のことはそう呼ぶことが義務付けられでもしているのか、自分が何度か、お茶会、と口を滑らせては、
「ティーパーティ」
と同窓生に厳しく言い直されるのも気分が悪かった。
そのうち、来客の中に遠い昔に世話になった先生が居ることに気付く。
少し離れた場所に居たその恩師は、何やらカードのようなものを並べていた。それは「お砂糖」や「お父さん」のように、頭に「お」の字をつけてもおかしくないものを探すゲームを、今の教え子のために考えている最中なのであった。
それに気付き、意地悪を思いついたような気持ちで、
「お茶パーティ」
と呟く。
すると、さっと横に立った同窓生は、今度はこちらの発言を言い直すこともなく、ただただ愛想笑いを返すだけだった。
それに対し、してやったり、と下品にげらげら笑い転げてみせた。
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