●4日目 02 夕方『埋葬』

 ぼちぼち日が傾いてきたころ、墓穴が完成し次々と生徒たちの遺体がそこに投げ入れられた。汚れた備品もほとんどが焼き尽くされ今は火を消すために水がかけられている。放置してどこかに燃え広がって火災発生になるのを避けるためだ。


「まるで紛争地帯の集団墓地ですね……。まさか日本でこんな光景を目にすることになるとは思いませんでしたよ」


 神妙な面持ちで光沢がつぶやき、沙希も二度とこの作業を忘れることはないだろうと思った。そんな中八幡が戻ってきて、


「今のところ変質者たちが侵入してくる様子はないね。はしごとか台を使ってフェンスや門を超えてきたらどうしようかって不安もあったけど、今のところそこまで頭の切れる奴はいないみたいだ」

「頭を使っているんだか、使っていないんだが……」


 沙希は呆れ顔で中庭のフェンスの方を見る。さっきよりも増えた変質者たちの大群がそこからじっと獲物をあさるようにこちらを見ている。ぞっとする光景だ。


「でもどんどん数は増えてきているね。このままだと不測の事態が起きるかもしれない。今日のところは作業を終わらせて、今夜は今までと同じく防火シャッターを下ろして様子を見たほうがいいかも」


「そうね。今日は遺体の埋葬だけ終わらせて一階の清掃作業は明日にするか……」


 沙希が頷く。

 

 ほどなくしてすべての遺体が穴に入れられ土がかぶせられ始めた。


 宗教とかよく知らなかったが、とりあえず何処かにいるのかもしれない神に祈りを捧げておく。

 こんな事態に巻き込んだ恨みつらみとともに。

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