第5話『神様、彼女はいますか?』

 此処、聖命市はその名前からも分かるように、江戸時代頃から既にキリスト教の思考が根強い土地である。

 そこにある唯一ある仏教の寺が、巫女宮寺院である。

 そう。ミミミの実家である。

 この寺は、江戸時代に建てられたのだが、なんでも意味がある。幕府のキリスト教禁止令の為だ。そう。ここは踏み絵をさせる場所として置かれていたのだ。

 そして、そこで踏めなかった者、怪しい者は次々と消息不明。失踪したのだ。

 時代背景からすれば、誰がヤってるのかは明白なのだが⋯⋯当時は、、人がいなくなる。それを恐れられ『神隠し』と呼ばれていたそうだ。

 ────というのが、ミミミから聞いた『神隠し』の全てだった。

 正直、くだらないとしか言いようがない。昔話と今回の神無マリア失踪事件を関連させるのも難しい。

 神無マリアは、「マリア≒キリスト教」ぐらいしかない。これ以上、関連させようとすると、それはこじつけになる。

 しかし、ミミミは納得しないだろう。現に、ミミミは話し終え顔が少し青ざめて僕の返答を待っている。

 僕は、少々大袈裟にため息を吐いた。

 「調べる価値はありそうだな。」

 僕の気持ちは、面倒くさいでいっぱいだ。だが、ミミミは少しほっとした顔をしてる。

 「じゃあ、今日の放課後、家に来て早速話そ!」

 「了解。」

 彼女の家⋯⋯巫女宮寺院は山の上に建てられていて遠い。

 僕は、またため息をつく。

 しかし、ミミミのほっとした顔と神無マリアの手掛かりが本当にあって、僕の冤罪証明になるのだとしたら安いものだ。

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神様聞こえていますか? 祭 仁 @project0805

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