第4話『神様、彼女を知りませんか?』

 神無マリアの失踪を僕が知ったのは、彼女とはじめて話した日から3日後の事だった。家に警察が来たのだ。⋯⋯アイスを買った店の防犯カメラに僕と彼女が買い物をしているのが映っていたらしい。どうやら、その日から彼女は家に帰ってきていないらしい。

 学校側も、彼女の失踪について隠せなくなる状況になり失踪1週間後には生徒に知らされる事となった。

 ────僕は、疑われている。当たり前の話だが、「生徒から彼女と僕が一緒にいるのを目撃した」だの、「警察が神有家に張り込んでいる」だのの情報が流れに流れ、既に『神有優が神無マリアを拉致した』という噂話になっている。

 こうなると、学校での居心地は最悪である。────ここは、波風立てず教室の窓から空でも見て周りをシャットアウトするしかない⋯⋯まあ、チラチラと見られながら噂話をされているのだが。

 「大丈夫、ユウユウ?」

 この柔らかい優しい声と、見た目小学生のお子様ボディ、黒髪ストレート少女。そして、僕のあだ名を小学生付けて以来ずっとその呼び方をするのは一人しかいない。

 「んー?大丈夫だよ、ミミミ!」

 幼馴染みの巫女宮美姫みこみやみきだ。

 「その呼び方やめて!もう高校生なんだよ。」

 僕のユウユウというあだ名は未だにいう癖に、僕が仕返しで付けたミミミは嫌がるのか⋯⋯何だか不公平にも感じる。

 「どうしたー?美姫も他の奴と一緒で神無さんの話を聞きたいのか?」

 皮肉を込めて言ってみたが、美姫は少々オーバーリアクションではないか、と思わされるほどブンブンと首を横に振った。

 「違う、違う!確かに、マリアちゃんに関係はする話なんだけど…」

 いつもはハキハキと話す美姫だが、この時は妙に辛辣な顔をしてる。

 「ねえ。ユウユウ、『神様って信じる』?」

 僕は少し驚き笑った。

 「────デジャヴかよ!『神有だけに神は有り』ってね。」

 「何だが、マリアちゃんと似た言い方をするのね」

 ⋯⋯どうやら、このフレーズは神無の十八番だったらしい。

 「じゃあ、『神隠し』って信じれる?」

 「えっ?どういう事だ?」

 「だから!マリアちゃんは、『神隠し』にあってるかもしれないの…」

 ────神無マリアは、『神隠しマリア』になったらしい。

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