安藤 弘則 様 


 まだまだ疑っていますね?

 いいでしょう、あなたの挑戦受けてたちます!


 と、言ってもどういったものがいいのかな? なんて考えがうまくまとまりません。


 早希を出産した直後の体重が54キロで一年で48キロまで落とした……なんて言ってもあなた覚えてないでしょ?


 新婚旅行の内容なんか、思い出話じゃきっと信用しそうもありませんしね……。

 うーん……私の秘密か……。


 福田くんが大事にしていたプレミアものの飛行機のプラモデルがありましたね。


 福田くんが機嫌よく手入れをしようとした時に片方の翼が折れてしまって、ひどく意気消沈していた事があったと思います。


 あれは福田くんが壊してしまったのではなく、私が遊びにいった時に落として壊したのでしたね。


 あなたが『バレないようにボンドでくっつけよう』なんて言って、内緒にしたままになってしまった事、悪く思っています。


 今度、福田くんに会った時に謝っておいてもらえませんか? よろしくお願いします。

 


 その手紙を読んで体が震えた。

 福田のプラモデルを壊したことは間違いなく俺と有紀だけの秘密だ。福田は全く気がついていなかったし、俺たちが疑われることもなかった。


 その後、一週間は飲みにいっても溜息ばかりだった姿を思いだし、今になって申し訳なかったなという気持ちが芽生える。

 

「有紀なのか……?」


 そんな訳がないと頭がアラートをあげているというのに、心が有紀だと確信してしまっている。


 有紀が……本当に俺に語りかけてくれているというのか──。


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