第4話 いざ、ギルドへ

ダーナの街はすぐそこだった。

洞窟から真っ直ぐ出ればすぐに道があり、そこを20分ほど下ったところで門が見えた。

高さ3メートルほどの壁に囲まれた街。人口はさほど多くないが活気があるのが見てわかる。

「転生してきたって感じがしてきたな」

内心ワクワクしていた。せっかくなら楽しんで、さっさと魔王をぶっ倒して、日本に帰ろう。この時は軽く考えていた。

門の前まできた。

「やぁ、僕。パパとママはどうしたのかな?1人で来たの?」

門番が話しかけてきた。言語理解のおかげで聞き取ることができる。

「はい!1人出来ました!」

年相応の対応をする隼人

「偉いね。お使いかな?気をつけるんだよ?」

「はーーい!」

お使いに来た少年に間違われたがそれは好都合だ。

「さてと…街にはあっさり入れるんだな。身なりについても言及されないし…この世界では10歳の子が武器を持つのは当たり前なのか?」

そんなことは無い。貴族や流派に属する子供なら持つことはあるが、普通の子供はまず持たない。

「んま、いっか。それより…冒険者ギルドに行かないと」

初めて来た街なのだから、冒険者ギルドの場所などわかるはずもない。

「とりあえず、優しそうな人に聞くか」

隼人はしばらく歩き、八百屋の店番をしていた女の子を発見し声をかけた。

「あの…すみません…!」

「お、僕ちゃん、お使いかな??なにを買いに来たの??」

「あ、えっと、その、冒険者ギルドって何処ですか??」

「え、冒険者ギルド??お使いじゃないんだぁ、そっかそっか。えっとね、冒険者ギルドは大通りを真っ直ぐ歩いて、右手側にあるわよ?どう、大丈夫そ?」

「うん!大丈夫!ありがとうお姉ちゃん!」

「んーー、でも心配ねぇ…」

すると女の子は店の方に顔を向けて、

「おかーさん!ちょっと店番離れるけど、大丈夫??ちょっと、男の子を案内してくる!」

店の奥から、気をつけなさいよー、と声がした。

「と、言うわけでお姉ちゃんが案内してあげるね!」

「ありがと!!」

探す手間が省けたのでラッキーと内心思う。これもluckが50あるからなのか、などと思いながら女の子の好意に甘えることにした。

「さーさーお姉ちゃんに付いてきなさい!」

女の子は歩き出す。

「お姉ちゃん、そっちは大通りじゃないよ?」

激しく不安だ。

それから2度3度と道を間違え、挙句の果てに道を聞き出す始末。訂正しよう。luck50は決して多くない、むしろ少ない。1人で行ったほうが早かったんじゃないか?と、思ったが女の子の為にも言わないことにした。

「さ、ついたわよ!」

誇らしげにない胸をそらし、元気に言った。

なんとか冒険者ギルドにたどり着いた。

「ありがとうお姉ちゃん!助かりました!!」

全力の笑顔で答えてあげた。

自分の顔は分からないが10歳の少年の無垢な笑顔で落ちない人はいないだろう。

案の定女の子も

キュンっときてしまったようだ。

「それで、僕は冒険者ギルドに何をしに来たの??」

確かにそうだ。何をしに来たんだろうか。

クロノに行けと言われるがまま来たのだが…

まぁ、せっかくだし、ギルドに加入して生活の足しにするか。などと考え

「僕、ギルドにはいるの!」

その言葉を聞いた女の子は驚き

「いやぁ…僕にはちょっと早いかなぁ?ギルドも認めてくれないだろうし…それに…」

「それに…?」

「僕みたいに可愛い子が行くとこじゃないよ!あそこはもっと、こう厳つい人達が行くようなところだよ??」

顔を赤らめながら女の子は言った。

と、まぁ隼人がそんなことを言われても聞くはずもなく…

「じゃあ、僕が最年少ギルド員になるよ!」

と、高らかに宣言しドア開けた。

女の子のため息が聞こえたのは言うまでもない。

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