第3話 1歩目。

目の前が真っ白になる。意識が遠のく。

さっきのは夢だったのかな…そんなことを思いながら意識が覚醒するのを待った。

「ん…さむいな…」

目が覚めた。硬い質感の床に横たわっていたようだ。

「夢…じゃないのか…」

そこは洞窟だった。洞窟と言うよりは洞穴と言うべきか。

「マジで転移…いや転生したのか…」

手をグーパーしながら感覚を確かめる。

確かに見慣れてた手よりも小さい。

立ってみた。視界が低い。

「しかも小さくなってるし…」

隼人は10歳の少年になっていた。

「それで…なんつってたっけ…たしか…ダーナの街に行って…冒険者ギルド…か」

状況を整理しつつ、目の前の物に目を落とした。

「これが、クロノの言ってた装備だな?」

白のシャツに黒のズボン、機動性を重視した安全靴、膝下まである長い深い青色のコート、肩当てと胸当て、穴あきグローブ、小さめのウェストポーチそして…

「これが俺と相性のいい武器か…」

手に取る。

カシャン

金属音がした。

鞘から抜き取った。

銀色の鮮やかな銀色の光沢を放つ。少し反り返っている。

「刀…か」

そう、隼人の武器は刀だった。昔やっていた古武術に確かに刀の型もあったので想定内だった。

「とりあえず、着替えるか」

置かれていた装備に身を包む。サイズはピッタリだった。そして、最後に腰の左に刀を下げれば完成だ。

「なかなかカッコイイじゃんか」

試しに刀を抜く。昔の感覚を呼び覚ますべく振る。

フュン

鮮やかな音がした。

「手に馴染む。いい刀だな。さて、そろそろダーナの街に出発するか。さっさと葵のことも見つけないとだしな」

隼人は軽い足取りで洞窟を出た。

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